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静脈認証(じょうみゃくにんしょう)

人の血管の種類である静脈から個人を特定する技術を、静脈認証と言います。身体や行動の特徴を活用する生体認証のなかでも、静脈認証は高い認証精度を誇る仕組みとされています。認証機器に手や指、手の甲などを当てた際、あらかじめ登録しておいた静脈のデータと一致するとロックが解除される仕組みです。1度でスムーズに認証できない場合に備えて、静脈認証では複数の指を登録するのが一般的です。静脈認証に使用するのは、主に近赤外線を用いた専用機器です。スマートフォンに付属するカメラで静脈を読み取る技術も存在します。静脈認証の仕組みは、金融機関の本人確認やデータセンターの入室制限、パソコンのログインなど幅広い用途で使用されています。
 
静脈認証で代表的なのが、近赤外線を使った仕組みです。手に反射させて静脈パターンを読みとる「反射方式」、または手に透過させて読み取る「透過方式」の仕組みが用いられています。反射方式の静脈認証は、手のひら側から近赤外線を当て、跳ね返った近赤外線の強弱でパターンを判別します。一方、透過方式では手の甲側に近赤外線を当て、静脈パターンを読み取る仕組みとなっています。近赤外線は、赤外線通信やテレビのリモコンなどで活用されている光です。静脈に存在する赤血球にはヘモグロビンが含まれています。このヘモグロビンは、近赤外線を吸収する性質を持ちます。近赤外線を手に当てると、近赤外線を吸収した静脈の範囲が黒く表示される仕組みです。それにより、データ上で静脈パターンが判別可能になります。認証機器で読み取った静脈パターンと登録データが一致するかを調べ、静脈のパターンが一致すると扉や端末のロックが解除される仕組みとなっています。
 
人の体内にある血管を利用する仕組みである静脈認証では、認証に必要な情報が外部に漏れる心配がありません。静脈認証では通常の金属製の鍵と異なり、紛失や盗難のリスクが限りなく低いと言えます。暗証番号やパスワードと異なり忘れる心配もないため、利用する人のセキュリティ意識に関係なく、防犯性能を維持できます。血管の方向や分岐する場所といった静脈の模様は、個人で異なります。右手と左手や、どの指かでも異なるほか、一卵性双生児でも静脈パターンは異なります。そのため悪意のある人間による、なりすましが難しい仕組みとなっています。そのほか静脈認証では、認証後の機器に形跡が残りません。指紋のように型を盗んだり、カードのように偽造したりして不正侵入しにくい仕組みと言えます。
 
扉の不正解錠や、端末の不正操作に効果を発揮する静脈認証の仕組みは、さまざまな場所で活用されています。金融融機関のATM(現金自動預け払い機)では、本人確認の仕組みに採用されています。あらかじめ金融機関で登録した静脈の特徴は、データ化および暗号化され、ICチップに保存されます。ATMで取引を開始する際は、静脈情報が登録されたICチップ付きのキャッシュカードを挿入し、認証装置での静脈認証や暗証番号で操作します。操作には個人の静脈データが必要になるため、高い安全性を維持されると言えます。サーバールームや金庫を備えた部屋での活用事例もあります。社員証と組み合わせた二重のロックにするなど、エリアに応じて静脈認証を採用することで防犯性と利便性を両立できます。静脈認証は、不正ログイン対策にも効果を発揮します。静脈認証を用いると、許可された利用者のみがオンラインのサービスやデータにアクセスする仕組みを構築できます。医療機関の電子カルテで活用すると、アクセス権限のない人が患者さんの情報を閲覧したり、情報を盗んだりできなくなります。オフィスなどで入退室や勤怠の管理システムと組み合わせると、集計や管理といった事務作業の負担を軽減できます。勤務状況をリアルタイムで確認できれば、不正打刻を防ぐことも可能です。静脈認証の仕組みを用いると、ICカード自体が不要になります。例えば、図書館の貸し出しカウンターでの活用事例があげられます。静脈認証の読み取り機器に手のひらをかざすと、連動するシステムへのログインができるため、カードレスで貸し出し作業が完了します。そのほか水族館や工場のように、所持できる物品が限られる場所で静脈認証を利用すると、手ぶらで扉の開け閉めが可能になります。手のひらを使用した静脈認証の場合、非接触での読み取りが可能なため衛生的です。静脈認証は高い防犯性能がありながら、利用者の心理的抵抗が少ない仕組みの認証方法と言えます。
 
防犯性能と利便性のバランスがよい静脈認証ですが、注意点も存在します。事前の登録では、利用者の同席が必須のため、あらかじめ時間を確保しておく必要があります。また体内の血管を利用した仕組み上、手袋をしたままでは認証できません。状況によっては認証がうまくいかないケースも存在します。例えば、寒さで血管が収縮すると、認証されにくい場合があります。指先は特に寒暖の影響を受けやすいとされており、体温の変化が静脈認証に影響を及ぼす可能性があります。貧血などでヘモグロビンの値が著しく下がった状態の場合も、静脈認証が難しい場合があります。そのほか静脈認証がスムーズに反応しない場合、大きさにもよりますが手や指に傷ができているケースが考えられます。

静脈認証(じょうみゃくにんしょう)
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