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プッシュプル錠(ぷっしゅぷるじょう)

ハンドルを押したり引いたりして扉を開け閉めする仕組みの錠を、プッシュプル錠と呼びます。プッシュプル錠の名称は、英語の「押す」を意味するpushと「引く」を意味するpullに由来しています。プッシュプル錠のハンドルの形状は大きく分けて、カーブのついたグリップ型、棒状のバー型、板状のプレート型の3種類があげられます。近年、デザイン性と利便性に優れたプッシュプル錠は、住宅の玄関錠として広く採用されています。縦に長い形のプッシュプル錠は操作範囲が広いため、身長に関わらず無理のない姿勢で扉を開け閉めが可能です。プッシュプル錠は握り玉タイプのドアノブと異なり、手袋をしたままでも滑ることなく容易に操作できます。肩などで押しても扉の開閉ができるため、荷物で両手がふさがっている際や寒い季節でもすばやく入室が可能です。プッシュプル錠は、開閉に大きな力を必要としない仕組みのため、ご高齢の方や子どもといった力の弱い人も安心して使用できます。プッシュプル錠のシンプルな仕組みを活用すると、災害などの緊急事態の際に迅速な避難が可能です。そのため、プッシュプル錠はホテルやコンサートホール、劇場など大人数が出入りする施設など幅広い場で採用されています。
 
プッシュプル錠は、利便性に加えて防犯用の仕組みを多く備えた錠です。プッシュプル錠の多くは、シリンダーが上下に2つ搭載されたダブルロック仕様となっています。シリンダーの増加は、ピッキングにかかる時間を延ばすため、空き巣などの不審者の侵入を遅らせる効果があります。指で押さなければ回転不可能なサムターンなど、防犯サムターンの仕組みを採用したプッシュプル錠も登場しています。通常の四角のデッドボルトに鎌のような突起を加えた、鎌式デッドボルトのプッシュプル錠もあります。デッドボルトを段階的に突出させることで固定を強固にし、破壊攻撃を防ぐ仕組みです。シリンダーをハンドル部ではなく、錠ケースにピンで固定した仕組みのプッシュプル錠もあります。ハンドルのもぎ取りに遭遇しても、施錠の要であるシリンダーは扉に内蔵された錠ケースにしっかりと固定される仕組みのため、容易に取り除けません。
 
開閉の動作に特徴を持つプッシュプル錠の施解錠は、玄関錠として一般的によく使用されるシリンダー錠と同様の仕組みです。解錠の際は扉についた鍵穴や、ハンドルに内蔵された鍵穴に鍵を差し込みます。正規の鍵であれば鍵が回転し、デッドボルトが錠ケースに引っ込み解錠される仕組みです。施錠の際は、鍵の回転によってデッドボルトが錠ケース内に戻ります。勝手口などで使用されている握り玉タイプの錠は、ひねってから扉を押す仕組みとなっています。レバーが上下に動作するレバーハンドル錠や、親指で押して開け閉めするサムラッチ錠でも、扉を開く前に上下運動が必要です。しかしプッシュプル錠では、扉を押す、または引くのみのワンアクションで開閉が完結します。解錠された状態で扉のハンドルを引くと、壁側の受け部に収まっていたラッチボルトがゆっくりと錠ケース内に戻っていき、扉が開く仕組みです。扉を閉めるとラッチボルトが扉枠の受け部に収まり、壁側と固定されます。
 
鍵を差してもデッドボルトが出入りせず施解錠できない場合は、シリンダーに不具合が起きている可能性があります。サムターンに異常が見られない場合は、シリンダーの鍵交換を検討してください。扉にハンドルとシリンダーが独立して設置されている際は、扉側面の金属プレートを外してからシリンダーの固定ネジを緩め、扉からシリンダーを取り外します。ハンドルにシリンダーが内蔵されたプッシュプル錠は、ハンドルを先に外さなければ鍵交換ができない仕組みのため注意が必要です。プッシュプル錠のハンドルを固定するネジの位置は、サムターン周辺やハンドルの側面など製品ごとに異なります。ネジが見当たらない製品の場合は、ハンドルを支える根本のカバー裏など、周辺の仕組みを細かく観察してみてください。カバー裏に突起のようなツメがある場合、ツメを起点に横にずらすとカバーが取れ、プッシュプル錠のハンドルを固定しているネジが現れます。
 
外からだけでなく室内のサムターンの仕組みも正常に機能しない場合、錠ケースの経年劣化でデッドボルトが故障している可能性があります。デッドボルトは単体での購入ができないため、メーカーや型番をメモし、新しい錠ケースに交換してください。錠ケースを交換するには、扉の大きさや厚み、シリンダーから扉の端までの距離、金属プレートの採寸が必要です。また錠ケースに含まれるラッチボルトには向きが存在するため、扉の開き勝手も忘れずに確認してください。外開きの場合、左側を起点にして扉が開けば左勝手、右側を起点に開閉する場合は右勝手のプッシュプル錠となります。
 
ほかにも扉を固定する蝶番のずれが扉の傾きを招き、ラッチボルトと扉枠の干渉を引き起こしている場合があります。ラッチボルトの干渉によるプッシュプル錠の動作不良の場合は、扉の動きを確認しながら、蝶番のネジを調整してください。プッシュプル錠のハンドルがぐらつくと、接続されている錠ケースのトラブルを招く恐れがあるため、早めにネジを調整する必要があります。プッシュプル錠の不具合は、ネジの緩みやずれなど軽微な調整であれば、DIYでも改善可能です。しかし、プッシュプル錠の違和感をそのままにしておくと、いずれ施錠や解錠ができなくなるリスクもあります。専門業者に相談すると、原因の特定から部品の手配まで依頼できるため、プッシュプル錠の修理をスムーズに完了させることができます。

プッシュプル錠(ぷっしゅぷるじょう)
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