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南京錠(なんきんじょう)

鍵の起源は諸説ありますが、さかのぼること紀元前2000年頃、古代エジプトにて最古といわれる鍵「エジプト錠」が誕生しました。その鍵は木製で作られ、現在の「ピンシリンダー錠」の原型といわれています。このエジプト錠は、古代ローマ帝国にも広まり、やがて紀元前500~紀元300年前の古代ローマ帝国では、錠前に鍵を差し込んで回す金属製の「南京錠」が存在していたことが明らかとなっています。当時ローマは、地中海を中心として貿易が盛んでした。南京錠のルーツをたどると、古代の旅商人が商品を盗賊から守るため、交易路を旅する際に貴重な商品を箱に入れて持ち運び、その箱に掛ける鍵としてはじめて使用されたのが南京錠との説があります。南京錠は、宗教的シンボルや動物や魚、鳥やハート型などささまざまな形状をしていました。紀元850年頃には、イングランドのヨーク市、ヴァイキングの集落跡地から南京錠が発見されています。日本の南京錠という名の由来は、江戸時代に外国から伝来した小さく珍しいものに「南京」と名称の冠をつけたことからといわれています。
 
南京錠は小さく軽量で、当時から持ち運びができる便利な錠前として人気を誇りました。中世ヨーロッパのイギリスでは、現代の「ウォード錠」が発明され、これと同様の仕組みを利用した南京錠が江戸時代以降の日本に伝わりました。その頃の日本では、武器の需要が減っていた刀鍛冶達にとって錠前造りは大きな転身でした。刀鍛冶達は、その技術を用いてウォード錠よりも高機能かつ防犯性の高い「和錠」を造り上げました。現代の南京錠の形に最も近いものは、17世紀の南ドイツで生まれた盾型のバネ付き南京錠ですが、その構造は単純であり、防犯性には弱いものでした。その後、時代とともに南京錠は、その素材や構造がより強化され、防犯性能を向上させてさまざまなタイプに進化しました。
 
シリンダー式は、鍵でタンブラーピンを押し上げ、シアライン(ピンとシリンダーの境目が一致する場所)を揃えて解錠するものです。古くから使用されている形で軽量、手軽でシャックル(U字の部分=掛け金)が金属でできているものが多く、切断し壊される危険性は低いです。ピンシリンダー、ディスクシリンダー、ロータリーディスクシリンダー、ディンプルシリンダーとある程度型は決まっており、後者になるほど耐ピッキング性が上がります。ダイヤル式は、複数桁の番号で施錠でき、鍵を持たなくても暗証番号さえ知っていれば解錠できるため、複数人で共有が可能です。ダイヤルが複数あるタイプとダイヤルがひとつのタイプがあります。ダイヤルが複数あるものは、内部の円盤をひとつずつ回せるようになっており、中心線に合わせてその暗証番号を揃えることで解錠できます。ダイヤルがひとつのタイプは、左右に回す向きと数字で解錠できる円盤型のものとなっています。可変式と呼ばれるものは、自由に番号を変えることができ、暗証番号に他人から推測されにくいものを使用すると防犯性が上がります。シャックルがケーブル錠になっているタイプは、その長さにより設置幅が広がります。太さや材質によって切断防止への強度がより増し、その分値段も上がりますが、自転車やスーツケースの盗難防止に有効です。そのほかにも、タイマー式や最新のスマートロック式、指紋認証対応の南京錠もあります。スマートロック式のものは、スマートフォンのアプリをダウンロードすることでスマートフォンが鍵となります。ポケットにスマートフォンを入れたまま解錠できるものもあります。
 
南京錠メーカーは、世界各地に有名な企業があります。Yale社(エール)は、1840年頃、ライナス・エールが防犯性の高い革新的な鍵の製造を始め、手作りで高価な銀行の鍵を専門としていました。1868年にアメリカの小さな錠前店として設立され、その歴史と伝統ある企業は、スライド式のピンタンブラー錠を開発し、その防犯性の高さに一躍有名な鍵メーカーとなりました。1862年にダイヤル式錠を発明し、現代のアメリカのコンビネーションロックの原理となっています。1921年には、アメリカのMaster Lock社(マスターロック)が、ハリー・ソーレフにより南京錠(パドロック)メーカーとして創業されました。頑丈で品質が高くデザイン性もあり、現在も世界各国で数多くの人気商品が流通しています。そのほかにも、ドイツのセキュリティー製品メーカーであるABUS社(アバス)、日本製ではALPHA/株式会社アルファやaiai/株式会社アイアイ、SKC/小庄金物株式会社などが有名です。ディンプルキーなど防犯性の高い鍵を使用している南京錠は、本体自体の強度が高くなっており、壊すことは難しくなっています。鍵を落としたりして失くしてしまった際、南京錠を破壊するにはプロの業者に依頼するのが最善といえます。南京錠といえば、金色で無機質なイメージをもたれることが多いですが、最近はカラーや形状も豊富な品揃えで自分の好みに合わせて選べます。アンティークの南京錠は1点ものも多く、インテリアとしても人気です。オークションでは、1点ものの古い南京錠を好んで入札されることが多く、そのデザイン性の高さは芸術といっても過言ではありません。
 
南京錠は、手軽な防犯対策として金庫やポスト、屋外倉庫、自転車など使用用途によりさまざまなタイプを使い分けることや2ロック目として使用すると安心です。万が一なくしてしまった場合は、合鍵も作れますが、安価で手に入りやすいため購入した方が出費を抑えることができます。今や世界中で親しまれる南京錠のその形は、古代から現代に至るまでの人類の文明開化の証しであり、信頼と安心、安全のシンボルです。

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