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鍵違い数(かぎちがいすう)

鍵の性能一覧に、耐ピッキング性能などと並んで鍵違い数という言葉があります。「1億通り」などと表記されるこの数字は、シリンダー内のタンブラー数や構造の違いにより製造できるシリンダー数を表しています。シリンダーとは鍵が差し込まれる鍵穴のことを指し、外筒、内筒、合致した鍵以外では内筒が回らないように障害物となるタンブラーが配置され、鍵違い数が1億通りのシリンダーでは1億通りの鍵を作ることができます。鍵違い数とは別に鍵通り数という言葉が使われることもありますが同様の意味合いです。計算して算出された理論鍵違い数から、実用に適さない構造を除いたものが鍵違い数です。
 
鍵違い数が多いと耐ピッキング性にすぐれ防犯性が向上します。鍵違い数とは、パスワードを設定するときの数字やアルファベットや記号の組み合わせ数のようなもので、多く複雑になればなるほどセキュリティが向上します。鍵違い数が多いことの短所としては、構造が複雑になることで定期的なメンテナンスが必要であること、子鍵の複製に時間や費用がかかることです。逆に鍵違い数の少ない鍵は安価な反面、耐ピッキング性能は低くなります。不正侵入者は侵入に時間がかかり人の目につくことを嫌うので、鍵違い数の少ない耐ピッキング性の低い鍵を設置する場合には、複数設置するなどして少しでも時間を稼ぎ防犯性を高める必要があります。
 
鍵違い数はタンブラーの配置される列数、枚数、高さを表す段数、サイドタンブラーの配置とその段数が多いほど多くなります。シリンダーの種類や構造によって鍵違い数は変わります。ピン状のタンブラーを持つピンシリンダーは1方向にピンが配置されていて、各ピンの高さの違いにより鍵違いを作ることができます。ピンの配置が1方向であるため、子鍵の片側がギザギザとした刻みになっています。配置されるピンの数が1本より7本になると、より多くの鍵違い数ができます。ピンシリンダーの理論鍵違い数は約100万~1億通り前後で、6本のピンで10段階の高さが変えられるピンシリンダーでは、10⁶=100万通りです。最も防犯性が高いとされているディンプルシリンダーもピン状のタンブラーが使われています。ピンが上方向だけではなく左右など複数の方向に配置されるため、より多くの鍵違い数を作ることができることから、理論鍵違い数は約100億~1,000兆通りにもなります。ディンプルシリンダーの子鍵は、ギザギザの刻みではなく凹みが施されています。ディンプルシリンダーは、その複雑な構造から耐ピッキング性能にすぐれている反面、埃に弱く定期的なメンテナンスが必要です。ディンプルシリンダーは鍵違い数の違いにより、ピッキング耐性時間が5分や10分などあります。
 
タンブラーが円盤状のディスクシリンダーは、外筒ではなく内筒に円盤状のタンブラーを複数配置しやすいため安価で耐久性にすぐれている反面、構造上短時間でレーキングという方法で不正解錠されてしまうことが問題になりました。製造数が鍵違い数を超えてしまったため現在は生産中止になっています。ディスクシリンダーの防犯性の低さを改良した後継としてロータリーディスクシリンダーが生まれました。合わない鍵を差し込んだときに、タンブラーをロックする仕組みが追加されピッキング耐性が向上しています。価格の割に耐ピッキング性に優れていますが、子鍵を複製しやすいため管理には注意が必要です。マグネットタンブラーは、子鍵にマグネットが埋め込まれタンブラーに設置されているマグネットと反発することで内筒が回る仕組みです。非接触式のためピッキングされにくいという長所があります。また、複数方向にタンブラーを配置できるものの、S極N極という2種類の組み合わせのため、鍵違い数は多くありません。それぞれのシリンダーの長所を活かすために、複数の構造を兼ね備えたものもあります。シリンダーにはさまざまなグレードのものがあり鍵違い数もさまざまなため、鍵を設置する環境や費用など考慮して選ぶことが大切です。
 
主要鍵メーカーのひとつであるMIWA(美和ロック)社の「U9シリンダー」は、鍵の左右にギザギザの刻みがついたロータリーシリンダーです。9列9枚高さ4段変化のロータリータンブラーが配置され、鍵違い数は約1億5,000万通りになります。耐ピッキング性能10分以上でコスパのいい鍵です。不正で鍵を差し込むとタンブラーがロックされるロッキングバーが採用されていて、耐鍵穴壊し性能や耐久性も優れています。同社の「PRシリンダー」は、メインタンブラーとサイドタンブラーを採用しています。メインタンブラーは11列11枚高さ4段変化、サブタンブラーは2段変化という2WAYロータリーシリンダー構造になっており、鍵違い数は約1,000億通りになります。ディンプルキーと違い時間をかければピッキングが可能なため、万が一鍵を紛失してしまったときにはシリンダーを壊さなくても専門業者に解錠してもらうことができます。オプションで不正複製防止システムをつけることも可能です。ALPHA(アルファ)社の「FBロック」は、水平2方向斜め2方向の計4方向にアンチピッキングピンが12~20本配置されているディンプルシリンダーで、鍵違い数は約1,300億通りにもなります。CP-C認定シリンダーでもあり、鍵の先端にフローティングボールを内蔵し複製を困難にしています。セキュリティカードを提示することで複製可能です。価格は鍵違い数と比例し、U9シリンダー、PRシリンダー、FBロックの順番に高額になる傾向にあります。
 
鍵違い数ごとの子鍵それぞれに振られた番号を鍵番号といい、シリンダー内のタンブラーの配置と紐づけられていて鍵番号を元に鍵を複製できます。鍵番号は数字、アルファベット、記号の組み合わせで構成され、セキュリティを高めるために、複製時に鍵番号と合わせてセキュリティカードの提示が必要になるものもあります。鍵番号の違うシリンダーは鍵違いあるいは個別キーといい、それぞれの建物ごとにそれぞれ鍵を管理する場合や、管理する人がそれぞれ別の場合などに使用します。Aという建物にはAの子鍵、Bの建物にはBの子鍵というように、ひとつのシリンダーに固有の子鍵で施錠・解錠できるのでセキュリティが向上します。学校や会社などでひとつの鍵で複数箇所の施錠・解錠を行うことを同一キーといいます。同じ鍵番号のシリンダーを使用することでAという建物もBの建物もXというひとつの鍵番号の子鍵で施錠・解錠することができ鍵を何本も持ち運ぶ必要がありません。

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