TEL0120-69-0569年中無休・24時間受付

ディスクシリンダー(でぃすくしりんだー)

ウェーハ―タンブラーやディスクタンブラーとも呼ばれるディスクシリンダーは、ピッキングの流行以前の1970年代に住宅で広く使われていた錠の種類です。両側にギザギザした形状の山をもち、ひらがなの「く」のような縦方向の鍵穴をしています。住宅以外では、自動車の鍵として使われている場合があります。
 
ディスクシリンダーの特徴は、ほこりなどに強いためメンテナンスが楽で、価格も手頃な点です。ディスクシリンダーは、その使いやすさから2000年頃までマンションや一戸建てなどの住宅に多く使われていましたが、現在は生産終了となっています。ディスクシリンダーの廃盤理由には、普及率、鍵違い数、防犯性の3つがあげられます。国内ではじめて販売された美和ロック製のディスクシリンダーは、市場に7,000万個も出回っていると言われています。ディスクシリンダーは、当時多くの住宅に使用されており、普及率の高さから空き巣のターゲットになりました。多くの生産で理論鍵違い数が上限に達したことで、組めるマスターキーに限界が出てきたこともディスクシリンダーの廃盤理由とされています。そのほか、内部構造がシンプルなディスクシリンダーは、1990年代から2000年代に流行したピッキングやレーキングで狙われました。レーキングとは、大雑把な前後の動きでツールを動かしロック解除する方法で、ピッキングより簡単な手口です。こうした理由から、ディスクシリンダーの主な販売元である美和ロックは、2001年に生産を終了しています。
 
ディスクシリンダーがピッキングやレーキングといった不正解錠に弱い理由は、内部構造のシンプルさにあります。シリンダー錠は、障害物で内側の筒部分の回転を抑えますが、ディスクシリンダーでは、障害物が上下方向のみに動きます。施錠時は、内筒に入っているバネによって障害物が内筒から外筒方向に押され、外筒と内筒の境界線にまたがっているため内筒を回すことはできません。正しい鍵を差し込むと、鍵の刻みに応じて上下に動くことで内筒の回転を阻むものがなくなり回る仕組みです。上下以外にも、左右や斜めに障害物が存在する近年の製品に比べると、ディスクシリンダーはシンプルな構造をしていると言えます。また、ディスクシリンダーの障害物は、ほかの多くのシリンダー錠と異なる役割を持っています。ディスクシリンダーの障害物にある穴は、鍵の長手が入る部分です。多くのシリンダー錠は、内筒の後方にカムと呼ばれる薄い棒状の部品を備え、内筒の回転をデッドボルトに伝えています。しかし、ディスクシリンダーは、カムが存在しない代わりに穴に入れた鍵の先端から回転を伝え、デッドボルトを出入りさせます。ディスクシリンダーの構造は、ピッキングやレーキングへの耐性は低いですが、バンピングには強いのが特徴です。バンピングとは、トンカチなどでたたいた衝撃によって障害物を弾き飛ばす手口で、上下ピンのうちの片方が移動すると内筒が回るピンシリンダーに有効な方法です。ディスクシリンダーの場合は、ピンシリンダーのように弾き飛ばされる障害物がないため、バンピングでの解錠が困難とされています。
 
シンプルな内部構造である分、ディスクシリンダーは安価に入手できるのが特徴です。ディスクシリンダーでは薄い金属板を障害物に使います。そのため、金属のピンを障害物に使用するピンシリンダーに比べて、障害物の数を増やしやく、少ない製造費用で容易に鍵違い数を増やせます。また、ディスクシリンダーは構造のシンプルさから生産コストが低く、複製の難易度はそれほど高くありません。メーカーへの直接発注のほか、鍵専門業者やホームセンターに入っている鍵コーナーでも対応可能です。持ち込んで複製してもらう場合はあまり時間がかからず、当日中にもらえるケースも多いです。ただし、合鍵の作りやすさは、利便性を高めると同時に防犯にも影響を与えるため、注意が必要です。合鍵による空き巣は、毎年高い水準で発生しているのが現状であり、鍵の紛失によって被害に遭う可能性があります。警察庁によると、令和3年の住宅への空き巣の認知件数は988件で、無締まりやガラス破りの次に多い侵入手段となっています。ディスクシリンダーを使用する場合は、ディスクシリンダーをむやみに他人に見せない、人目に付く場所に鍵を置いておかないなど、管理の仕方に配慮するようにしてください。使用時は持ち手にキーカバーをつけ、鍵番号を隠す方法も有効です。
 
古い住宅では現在もディスクシリンダーを使用しているケースがみられますが、防犯面から新しいものへの交換が推奨されています。ディスクシリンダーを防犯性の高い近年の製品に交換するには、設置予定の扉周辺の寸法を調べる必要があります。まずは、扉の側面の金属プレートを指すフロントをチェックし、フロントに刻まれた型番と、プレートの縦と横の寸法を測ります。次に、扉の端からシリンダー中心部を指すバックセットと、扉の厚みの寸法を確認します。最後に、ドライバーやペンチでフロントや固定金具を取り、既存のディスクシリンダーを外し、新しいシリンダーに交換をしてください。鍵の専門業者へ依頼すると、住宅環境や使用用途、扉に合ったシリンダーを提案してもらえるので安心です。

ディスクシリンダー(でぃすくしりんだー)
お問い合わせ・お見積りはカギ舎へ!