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シリンダー錠

住宅の玄関や部屋のドアについている、鍵を差し込むための鍵穴の部分をシリンダー錠と言います。シリンダー錠は円筒の意味の英語を持つシリンダーに由来し、外筒のなかに回転可能な内筒が入った構造をしているのが特徴です。施錠時はタンブラーという障害物を使用して外筒と内筒をつなぎとめることで、内筒が回転して扉が開くのを防ぎます。解錠時はシリンダーに鍵を差し込み、ドアについているデッドボルトという扉止めを動作させることで扉が開く仕組みです。代表的なシリンダー錠には、ディスクシリンダー錠やロータリーディスクシリンダー錠、ピンシリンダー錠、ディンプルキーシリンダー錠などがあり、防犯性能は種類によって異なります。
 
ディスクシリンダー錠は、ウェーハータンブラー錠とも呼ばれる、鍵の両側がギザギザした形状のシリンダー錠です。鍵穴がひらがなの「く」の形をしているのが特徴で、内部には円盤のような形をした障害物が使用されています。1970年代に住宅用として普及したディスクシリンダー錠は、ピッキングなどの不正解錠に弱い点がデメリットです。1990年代から2000年代初頭に多発したピッキング被害の影響で、現在では多くの鍵メーカーで生産終了となっています。古い住宅や倉庫には現在も使われている場合があり、防犯性の低さから交換が推奨される鍵です。
 
ディスクシリンダーのセキュリティを改善したロータリーディスクシリンダー錠は住宅などに広く普及しています。ロータリーディスクシリンダー錠には、アルファベットの「c」のような形をしたタンブラーが使用されています。施錠時はロッキングバーがタンブラーの回転を抑えて施錠し、解錠時はタンブラーの欠けた部分がロッキングバーの位置にはまることでドアが開く仕組みです。ロータリーディスクシリンダー錠はピッキングなどの不正解錠に強いものが多く比較的安価なため、コストパフォーマンスに優れていると言えます。
 
鍵の片側がギザギザした形状のピンシリンダー錠は、内部にピンのような形のタンブラーが一直線に配置されている構造で、ちりや埃に強く安価な点がメリットと言えます。デメリットとしては工具でピンを弾き飛ばすバンピングなどの不正解錠に弱い点です。また鍵の複製が容易なので、鍵番号を知られないように注意する必要があります。防犯性の低さから近代では最新のピンシリンダー錠やピン形状を複雑にしたディンプルキーシリンダー錠が主流になってきています。
 
鍵にクレーターのような大小の穴があるディンプルキーシリンダー錠は、ピッキングに強く防犯性に大変優れた種類です。一直線に並ぶピンシリンダー錠のピンに対し、ディンプルキーシリンダー錠は多数のピンが複数の方向から置かれています。比較的新しい住宅などで使用されており、鍵に表裏がなく子どもや年配者も手軽に使えるデザインとなっています。持ち主以外ではスペアキーを作れない登録制シリンダーの鍵を使用し、よりセキュリティを高めることが可能です。
 
シリンダー錠にはほかにも、磁石を埋め込んだマグネットタンブラーシリンダー錠や、車のキーに使われることが多いウェーブキーシリンダー錠があります。マグネットタンブラーシリンダー錠は、磁石が反発する力で棒状のタンブラーを押し出し解錠する仕組みになっています。しかし磁石の力が弱まってくると動作しなくなる場合があるため、メンテナンスに気を配る必要があります。ウェーブキーシリンダー錠に使用される鍵は彫刻キーとも呼ばれ、鍵の両面に波のような形の溝を持つのが特徴です。ウェーブキーシリンダー錠は、サイドバーと呼ばれるシリンダー内部のピンと、タンブラーが適切にかみ合わない限り解錠されないため防犯性が高いと言えます。しかし鍵の紛失時には、解錠や施錠に時間を要するというデメリットもあります。
 
サムターンとはシリンダー錠を室内側から解錠する場合に使用するつまみ部分のことで、内鍵とも呼ばれます。室外側のシリンダー錠が鍵を差し込まなければ解錠できないのに対し、サムターンは手で回転させるだけで解錠できるのが特徴です。防犯性能の高いサムターンには例えばスイッチ式や切り替え式といった種類があります。切り替え式は空転モードに切り替えるとサムターン操作時に空回りし、スイッチ式はサムターン付近のスイッチを押さなければ回せない仕様です。また表面を曲面にすることで工具の操作を防ぐ卵型、2本の指で均等に力を入れなければ回せない偏荷重式などのサムターンもあります。取り外し可能な「脱着式」は、外出前にあらかじめサムターンを取り外しておくことで、留守中のサムターン回しを防ぐことが可能です。
 
さらに防犯性を高めるためには、シリンダー錠にプラスアルファの機能をつけることが有効です。1つのドアに2つ以上の補助錠を追加するワンドア・ツーロック方式は、不正解錠による侵入を防ぐ代表的な方法です。解錠に5分以上かかると、7割の侵入者は諦めると言われています。国土交通省の「防犯設計指針」でも推奨されているワンドア・ツーロック方式を導入することで侵入にかかる手間を増やし、不正解錠を諦めさせる効果が期待できます。
 
ワンドア・ツーロック方式には鍵穴をドア外側に取り付ける外付けや、内側に設置する内付け、穴開け工事を伴う面付けなどのタイプがあります。外付けタイプではピッキングにかかる時間を増やせるほか、防犯意識の高さをアピールする効果があります。ただし外付けタイプは、外から施錠すると、在宅者の閉じ込めリスクにつながるため注意が必要です。内付けタイプの場合は、外から見えないことで外出中か判断されにくく、不正解錠の標的にされるリスクが減ると言えます。室内側のつまみ部分を不正解錠するサムターン回し対策にも有効です。また扉に直接穴を開けて設置する面付けタイプは、高い強度を誇るため、バールなどの工具を使った力ずくの不正解錠への対策になります。
 
シリンダー錠のセキュリティ対策には鍵穴用の防犯カバーの使用も有効です。鍵穴の形状からシリンダー錠の種類が推測されにくくなるため、ピッキング対策になります。露出を防ぐことで、ピッキング以外にもドリルなどの物理的な攻撃を防ぐことも可能で、サイズが合致すれば玄関以外の扉にも取り付け可能な点が特徴です。ダイヤルや暗証番号で操作できるカバーの場合は、補助錠の鍵を追加で管理する必要がなく、紛失リスクを減らせると言えます。特殊な工事が不要なため、ドアに穴を開ける本格的な施工が難しい賃貸物件でも取り付けが可能です。

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