クレセント錠（くれせんとじょう）

クレセント錠とは、主に左右に開く窓ガラスに取付けられている錠のことを言い、上下に回転して施解錠を行います。クレセントとは三日月を意味しており、鍵の形状が三日月のように見えることから名付けられました。クレセント錠には「クレセント」と「クレセント受け」の2つの部品があります。窓を閉め切った際に窓枠が接地する部分に取り付けられており、内側の窓にはクレセント、外側の窓にはクレセント受けが設置されています。クレセントの持ち手部分を回転させることで持ち手の先にあるフックが回転し、窓に取り付けられてあるクレセント受けの金具部分にフックを引掛けて施錠する仕組みです。三日月状の鍵を金具に引掛けて施錠するシンプルな構造になっています。シンプルな仕組みであるため簡単に施錠できるのがクレセント錠の特徴のひとつです。一般家庭で使用されることが多いため、子どもからご高齢の方まで簡単に操作できる仕組みとなっています。

多くの家庭の窓にクレセント錠は取り付けられていますが、防犯用ではありません。元々は音漏れ防止のために作られており、窓の遮音性や気密性を高める仕組みとなっています。そのため、鍵というよりは止め金具の役割を持ち、ガラスを破って手を差し込めば簡単に開けられてしまいます。このように従来のクレセント錠は防犯性が低いため、最近では手ですぐに回転させないようにするためのロックボタン付きや鍵付きのクレセント錠が増えてきています。近年では犯罪の手口が多様化しており、シンプルな仕組みのクレセント錠だけでは、防犯面においては不十分です。多くの家庭でも使われているクレセント錠の場合、同じ手順で不正解錠できてしまうので、犯罪者の心理的にも簡単に侵入できる印象を与えてしまいます。鍵付きやボタン付きなど少しでも異なるクレセント錠を使用することで被害に遭うリスクを軽減できます。

クレセント錠の種類にもいくつかあり、従来のクレセント錠以外では、大きくダイヤル付き、ボタン付き、鍵付きのクレセント錠があげられます。ダイヤル付きクレセント錠は、通常のクレセント錠にダイヤルが付いた仕組みのタイプになります。ダイヤルに任意の暗証番号を設定して、解錠時に正しい暗証番号を揃える仕組みになっています。防犯性にも優れており、小さい子どもが解錠して外に出てしまう危険性もなくなり安全です。ボタン付きクレセント錠は、通常のクレセント錠にボタンが付いたタイプになります。主に2つのボタンが付いており、各ボタンを任意の回数押すことで暗証番号として登録することができ、暗証番号を正しく押して開錠する仕組みになっています。ボタンが付いているだけなので、ダイヤル付きクレセント錠よりも暗証番号であることがわかりづらいため、防犯性は高まります。鍵付きクレセント錠は、クレセント錠の取付け部分に鍵穴が付いており専用の鍵で解錠する仕組みとなっています。防犯性は向上しますが、専用鍵を別で保管する必要があります。鍵を使用して解錠を行うため、ひと手間かかります。また専用の鍵の紛失にも注意が必要です。

クレセント錠を取り替える際には、サイズや距離感に注意しなければなりません。同じメーカー同じ型番であれば問題ありませんが、異なるメーカーに交換する場合は、穴の大きさや間隔、クレセント錠のサイズが変わるため、上手く取り付けができない可能性があります。取り付けても引っ掛かりが甘く、気密性が確保できないなどの可能性もあるので購入前にきちんと確認しておくことが重要です。自分自身でクレセント錠を交換することも可能ですが、後々のトラブルを避けるためにも専門業者へ依頼すると安心です。防犯性の高いクレセント錠に交換しない場合、補助錠を使用して防犯効果を高める方法もあります。補助錠は窓枠上部や下部に取り付けることができ、突起を手動で出し入れできる仕組みとなっています。クレセント錠が解錠されても突起が引っ掛かることにより窓の開閉ができない仕組みなため、防犯性が向上します。クレセント錠の取替えは工具が必要となり、取付けにもひと手間かかりますが、後から取り付けをする補助錠であれば粘着テープで貼りつけるだけで設置が可能なため、簡単に取り付けることができます。

家庭やオフィスなどでよく見かける親しみのあるクレセント錠ですが、従来の錠は防犯性の低さが懸念されます。防犯性の高いクレセント錠を使用することで防犯性が向上し安心して生活ができます。クレセント錠は比較的安価で交換ができるので、費用対効果が高いのもメリットです。防犯性を高めるためには、クレセント錠の劣化にも気を付けなければなりません。クレセント錠の劣化はネジのゆるみや衝撃に伴う金具の変形などがあげられます。金具が変形しているときちんと施錠ができず、ネジのゆるみがあれば錠としての仕組みが機能しない可能性があります。クレセント錠に劣化がみられたらネジの補強や金具の取替えなど早急に対応が必要です。