チェンジキーシステム（ちぇんじきーしすてむ）

鍵穴部分はそのままに、鍵自体を交換するのみで鍵交換が完了する仕組みをチェンジキーシステムと呼びます。チェンジキーシステムは賃貸マンションやアパートといった集合住宅で広く活用されている仕組みです。あらかじめキーチェンジシステム機能を搭載したシリンダーと専用の鍵を用意することで、建物の扉にチェンジキーシステムを導入できます。鍵交換時は、チェンジキーシステムを装備したシリンダーに、専用の鍵と新しい鍵を差し順に操作します。チェンジキーシステムの仕組みを装備した製品には、美和ロックのLBシリンダーやGOAL（ゴール）のGVシリンダー、OPNUS（オプナス）のMMXやメモリスなどがあります。

それまで使っていた鍵がチェンジキーシステムによって解錠できなくなる仕組みは、チェンジキーシステム専用の鍵と新しく使う鍵の操作で、鍵のパターンがリセットされるためです。キーチェンジシステム仕様の鍵穴には、チェンジキーの次に操作した鍵の解錠パターンを覚える機能があります。キーチェンジシステムを搭載したシリンダーは、チェンジキーシステム仕様の鍵を所定の方向と角度に回して抜くと、それ以降に操作した鍵のキーパターンを記憶する仕組みを持ちます。専用の鍵をキーチェンジシステム搭載のシリンダーに差して90度または180度に回転させ、新しく使う鍵を反対向きに回転させます。そうすると鍵穴内のかみ合わせが、以前の鍵から新しい鍵へと塗り替えられるのがチェンジキーシステムの仕組みです。

賃貸マンションやアパートの入退去に伴う鍵交換の手間を減らす点が、チェンジキーシステムの特徴です。引っ越し時は防犯面から錠前ごと交換するケースが多くあります。キーチェンジシステムの仕組みを利用していない場合、物件ごとのキープランに気を配りながら新しい錠前を手配する必要があります。管理する規模が多いと鍵が多くなり管理者の負担が増えますが、キーチェンジシステムを扉に導入すれば鍵穴自体の交換が不要です。キーチェンジシステムが使用されている扉の場合、鍵を紛失した際に必要なのは新しい鍵のみです。そのほかキーチェンジシステムの特徴であげられるのが、作業の容易さです。通常のように業者を呼んだ工事が不要なため、スピーディーな鍵交換が可能です。ドライバーが必要なく、専門的な知識が不要で取り付けが可能なため失敗しにくい点も、キーチェンジシステムの利点といえます。キーチェンジシステムを賃貸の玄関や通用口の扉に用いると、賃貸物件の管理会社や大家さん自身で迅速に鍵紛失に対応できます。キーチェンジシステムは鍵に関するトラブルの早期解決を促し、入居者との信頼関係を築く役割も持つと言えます。

チェンジキーシステムは、鍵交換時にかかる費用を抑える効果があります。一般的にチェンジキーシステムを搭載したシリンダーは、従来のシリンダーより値段が高い傾向にあります。ですが扉の鍵をチェンジキーシステムで運用すると、長期的な鍵交換費用の削減が可能です。通常、交換する部屋数や回数が多いほど、鍵交換の費用は大きくなります。チェンジキーシステムは変更可能な回数の制限に達するまで何度でも利用可能なため、取り付け工事費の軽減につながります。ただし製品によっては、シリンダーのチェンジ回数に制限がある点がキーチェンジシステムの注意点です。

使用状況や場所に合わせて自在に部屋の管理ができる点も、チェンジキーシステムの仕組みが持つ特長です。たとえば賃貸住宅の空室を1つのチェンジキーシステム対応の鍵でまとめて管理すれば、同じ日に複数の部屋を入居希望者に案内できます。新築やリフォーム中の賃貸であれば、内装業者や仲介業者にチェンジキーシステム用の鍵を渡しておくと建設作業や掃除、点検を滞りなく進められます。チェンジキーシステムの仕組みを導入すると規模や組織変更に応じて、テナントビル内で鍵をエリアごとに分けたりまとめたりすることも可能です。

あらかじめキープランを組んでおくと、同じ1本の鍵で複数の扉を解錠できる仕組みのマスターキーや、複数の鍵で共用部の扉を解錠できる仕組みの逆マスターキーをキーチェンジシステムと併用できます。各キーシステムとチェンジキーシステムを組み合わせて利用することで、防犯性を維持したまま建物をスムーズに管理できます。キーチェンジシステムを複数のキーシステムの仕組みと併用させると、マスターキーや逆マスターキーで設定したグループ内の鍵を、対応するチェンジキーで変更可能です。そのほかチェンジキーシステムで運用された建物は、マスターキーを紛失した際に迅速に鍵変更できます。例えば、美和ロックのLBシリンダーに搭載されたリベロ・キーシステムには、マスターキーを紛失しても1回まではシリンダー交換なしでチェンジできるオプションが存在します。

知らぬ間にチェンジされる心配が少ない仕組みを持つチェンジキーシステムは、防犯性に優れていると言えます。チェンジキーシステムではあらかじめキープランで組まれた同じグループ内や、各部屋とセットになった専用のチェンジキーでなければ鍵の変更ができません。そのほかチェンジキーシステムは容易に合鍵を作れない仕組みのため、万が一鍵を落としてしまった際にも安心といえます。GOALのGVシリンダーに搭載されるチェンジキーシステムは、チェンジキーシステム用の鍵に刻印されている番号と、タグにあるセキュリティID番号の両方の提示がなければ鍵の複製を受け付けない仕組みを持ちます。