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焼き破り(やきやぶり)

焼き破りは建物に不正侵入するために窓ガラスを突破する、ガラス破りと呼ばれる手口の1つです。焼き破りはクレセント錠の近くの窓ガラスにライターやバーナーを当て温度を上げたうえで、冷却スプレーや水をかけるなど急激に冷やすことで簡単にガラスを割ります。手が差し込める程度の大きさに窓ガラスが割れたら、クレセント錠を解除し窓を開けます。焼き破りは急激な温度差を与えると割れるガラスの仕組みを利用し、大きな音を出さないのが特徴です。局所的に高温になった窓ガラスは膨張し、冷却スプレーや水をかけると瞬間的に冷やされます。1枚のガラスのなかで温度が高い部分と低い部分ができると、ガラス内の膨張と収縮のバランスが崩れ割れる仕組みです。
 
令和3年の空き巣の認知件数は、焼き破りを含むガラス破りが3,652件です。ピッキングやサムターン回しの32件をはるかに上回っていることから、焼き破りは近年増加傾向にあるといえます。ピッキングやサムターン回し以上に焼き破りが広まった理由には、短時間で比較的静かに突破でき、特殊な道具も技術も不要な点があげられます。ガラス破りには、焼き破りのほかに打ち破りやこじ破りといった手口があります。打ち破りは、ハンマーやバールで力任せに窓ガラスを割るため大きな音が出ます。三角割りとも呼ばれるこじ破りでは、複数個所を割って三角形状に窓ガラスを倒す必要があります。その点焼き破りは、静かに侵入できるため、就寝中や2階にいる場合は気づかない場合があります。複数箇所ではなく、クレセント錠の近くを熱するだけなのでコツが不要で、携帯サイズのバーナーやターボライターといった道具の入手も簡単です。焼き破りはピッキングやサムターン回しのように、特殊な知識や技術を必要としないため誰でも犯行可能な手口です。
 
何も対策をしていない窓ガラスの場合、焼き破りの被害に遭う可能性があります。窓ガラスには広く普及しているフロート板ガラスのほか、網入りガラスやペアガラスなどの種類があります。網入りガラスやペアガラスは、名称から防犯性能があるように誤解されがちです。ですが金網入りの網入りガラスは防炎目的、ガラスの間に空気や真空を含むペアガラスは断熱目的に作られる窓ガラスです。そのほかフロート板ガラスに比べ3倍ほど風圧に強い強化ガラスも、防犯ガラスではありません。高温に強いとされる耐熱ガラスも熱し続けるといずれは割れてしまうため、焼き破りへの対策に使用するには不十分と言えます。
 
自宅の窓を割れにくい防犯ガラスに変更すると、焼き破りの被害防止につながります。防犯ガラスは、2枚のガラスとフィルムから成る合わせガラスの一種です。防犯ガラスはガラスの間に、厚み約0.76mm以上の特殊フィルムを挟んで丈夫にした窓ガラスです。防犯ガラスのなかでも高い防犯性能が期待できるCP製品は、官公庁や企業から成る官民合同会議の基準を満たすことを証明する窓ガラスです。CP製品の防犯ガラスは、焼き破り試験で5分間の耐性が確認されています。そのほか焼き破りには、窓ガラスに防犯フィルムを貼り付ける対策も有効です。防犯フィルムはポリエステル製で厚み350μm以上、指定の接着剤を使用といった条件を満たした製品です。専門の資格を持った人が厚さ5mm以上のガラスに、1枚を全面貼りするなどの施工条件を満たすと、CPマークの貼り付けが可能です。防犯フィルムは小型サイズの市販品もあります。しかしクレセント錠周りのみへの設置や、専門資格を持たない人による施工の場合、高い防犯性能は期待できません。防犯フィルムの寿命は10から15年といわれています。最大限の焼き破り防止効果を得ながら長く使うには、プロに取り付けてもらうのが安心です。
 
手で簡単に固定を解除できるクレセント錠は、鍵ではなくストッパーの役割を持った金具です。そのため窓ガラスの焼き破り対策には、防犯性能の高いクレセント錠への変更が推奨されます。防犯性能の高いクレセント錠にはダイヤル錠付きクレセントや鍵付きクレセント、ロックボタン錠付きクレセント、脱着ノブクレセントがあります。ダイヤル錠付きクレセントは、ダイヤルを回してランダムに設定した数字で窓をロックします。鍵付きクレセントは窓ガラスを閉めたあと、クレセントの鍵穴に鍵をさしこみ施錠し焼き破り後の窓の開閉を防ぎます。ダイヤル錠付きは暗証番号、鍵付きの場合は鍵の管理に注意が必要です。ロックボタン錠付きクレセントは窓ガラスを閉め、ボタンを任意の回数だけ押してロックをかけます。設定通りにロックボタンを押さないと、クレセントのノブ部分が動かない仕組みです。脱着ノブクレセントは回転部分であるノブを、窓を閉めてから外せるタイプです。クレセント錠の交換ではサッシの種類の判断や細かな採寸が必要になります。
 
防犯性の高い補助錠の設置や追加も、焼き破りへの対策として効果的です。焼き破りに対抗するための補助錠には鍵付きタイプやつまみを外せるタイプ、ネジ留めタイプ、シールタイプがあります。鍵付きタイプには鍵穴がついており、直接施錠して窓の開閉をロックします。つまみを外せるタイプは、つまみを回してサッシに設置後、つまみを外してロックします。ネジ留めタイプはサッシの下側にドライバーで固定し、シールタイプは窓の上や下に貼り付けて使用します。補助錠は操作がしにくい上への設置も行うとより効果的です。シールタイプの補助錠は強粘着な製品が多いため、賃貸では管理会社や大家さんに相談したうえで設置します。
 
シャッターや面格子を活用するのも、焼き破りによる不正侵入対策に有効です。シャッターや面格子には破壊しにくいよう補強されたり、複数箇所にロックが備わったりする防犯性の高いCP製品が存在します。取り外しや破壊が困難なシャッターや面格子を設置すると、たとえ焼き破りで窓ガラスを割られてしまっても、部屋内への侵入を阻止できます。そのほか焼き破り対策には、窓ガラスに近寄りにくくする方法もあります。開閉の振動に反応してアラームが鳴る防犯ブザーや、人が通るとセンサーが反応して灯りがつくライトをベランダや窓周辺に設置します。警備会社との契約や防犯カメラの設置は、焼き破りの早期発見につながり、万が一の被害を最小限に抑える効果があります。

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