玄関からの徘徊防止
玄関からの徘徊防止についてお伝えしていきたいと思います。
私は鍵の取り付けや交換をしている中で、「徘徊防止」のご相談を頂くことがとても多くなりました。本当にここ数年での相談件数は、それ以前と比べてもかなり増えていることを実感しています。
そのことからしても、認知症を患っている人の徘徊行動について、悩んでいる家族がとても多いことが理解できます。
ここでは、玄関からの徘徊防止についてお伝えしていきたいと思います。
目次
○ケアマネジャーさんから鍵の取り付けや交換の依頼が急増中!
○安全の確保が必要ならば鍵の取り付けや交換を
○鍵の取り付けや交換は、認知症の人の状況に合わせて行う
○賃貸住宅でも徘徊防止の鍵に変更することはできるのか
○徘徊防止のための玄関鍵の交換や取り付けについて
●鍵タイプ
●電気錠タイプ
○勝手口からの徘徊防止
○窓やサッシからの徘徊防止
○門扉や部屋の鍵の取り付けや交換について
○まとめ
○ケアマネジャーさんから鍵の取り付けや交換の依頼が急増中!
仕事柄、ケアマネジャーさんとお話しすることも多くあります。
鍵の取り付けや交換などをケアマネジャーさんから依頼を頂くこともあります。
ケアマネジャーさんは、鍵の専門家ではありませんから、
「このような鍵はありませんか?」
という内容で依頼を頂くことが多いです。
このケアマネジャーさんからの依頼内容に多いものは、
「玄関からの徘徊防止」
についてです。
一般的な玄関からの鍵では、認知症の方が徘徊するために出ていってしまわれるのです。
認知症の方は、身体的にはとても健康で元気な方も多く、一緒に同居されている介護者が高齢で、仮に認知症の方が出ていかれても対応することができないという方もたくさんおられるのです。
徘徊予防にはセンサーなどもありますが、老老介護のような場合は、まったく意味をなさないものになってしまうのです。
このような家族は、内側から扉が開かないようにすることはできないかとケアマネジャーに相談されることが多いのですが、ケアマネジャーも鍵の専門家ではないので、私どもに相談されることになるのです。
ケアマネジャーさんから私どもに相談があるときには、本人の徘徊にほとほと困っておられる状態が多くみられます。ケアマネジャーさんともしていろいろと手を尽くしたが、やはり徘徊されて困っているという状態が多いように思います。
○安全の確保が必要ならば鍵の取り付けや交換を
私もケアマネジャーさんを始め、福祉の関係者と関わってきて感じているのですが、徘徊しても場所が分かるGPSや行動されると反応されるセンサーなど、福祉でできるさまざまな対応をできる限り活用されている様子が伝わります。
そのような状況をみていくと、ケアマネジャーさんとしては、安易に鍵を交換することはしないのだと感じました。
よく聞いてみると、やはり内側から鍵を開けさせないという行為自体に問題があるということで、本人からすると外出したいのにできないと、尊厳を踏みにじられている行為とも取れるということなのです。
最終的にケアマネジャーさんが、なぜ私どものような鍵業者に相談してくるかというと、「尊厳の保持」と「利用者の安全確保」で天秤をかけたときに、「利用者の安全確保」がまず大事であると判断されるためだと聞いたことがあります。
もちろん外出させないという行為は許されない行為だと思います。しかしそれでもまず安全を確保する必要がある、ということなのです。
そのために私どもとしても、安易に取り付けをするのではなく、簡単に鍵の設定が変更できるものを提案し、介護サービスなどを利用されるために外出される際には、通常通り外出が容易にできるような鍵を取り付けるように工夫しています。
○鍵の取り付けや交換は、認知症の人の状況に合わせて行う
鍵の取り付けや交換については、相談を頂ければとても簡単に行うことができます。
しかし私どもでは安易に取り付けすることは反対で、必要最小限にとどめた方がいいと思っています。これは、認知症のケアにとって、無理に外出の制限をすることは望ましくないからです。
例えば、いつも出ていかれる扉が玄関ならば、玄関扉の鍵の交換や取り付けだけを考えればいいと思います。
ご自宅には、外出されるための扉はたくさんあると思います。玄関だけではなく、勝手口や窓などからも可能でしょう。それらすべてを内側から開けられないようにしてほしいという依頼もありますが、ご本人が外出しようとされる扉だけに施行して、必要最小限にとどめておくことが、ご本人の尊厳の保持のためには必要だと感じます。
これも先ほどのケアマネジャーさんの話にあった「尊厳の保持」と「安全の確保」を天秤にかけてみるといいかと思います。
そのうえで、窓から外出されるようでも、勝手口から外出されるようでも、古い扉から外出されるようでも、私どもはどんな扉でも徘徊防止のための鍵を施工することができますから、ご相談頂きたいと思います。
○賃貸住宅でも徘徊防止の鍵に変更することはできるのか
家族が扉をひもでくくったりして対応されているのを何度も見たことがあります。どれだけ本人に声かけをしても、外出しようとされるので、やむを得なく扉があかないようにひもでくくっておられるのです。
また賃貸のアパートなどにおいては、勝手に鍵を変えるようなことはしてはいけないと思って、そのような対応をされている方がおられます。
賃貸の物件である場合は、その住宅を明け渡す際に、原状復帰していればよいといわれる事がほとんどです。公団などにおいては、住宅公社などの許可が必要で、少々取り付けにかかるまでにお時間がかかる場合もありますが、原状復帰するということで許可はおりるように思います。
一般の賃貸アパートなどでは、家主さんにわけを話せば、問題なく施工することができます。
鍵によっては、原状復帰がしやすいものも販売されています。取り外せば、すぐに元通りの鍵に戻すことができるものもありますので、ご相談頂ければと思います。
○徘徊防止のための玄関鍵の交換や取り付けについて
徘徊するために外出されるルートで一番多いのは、玄関だと思います。
ご本人が慣れ親しんだところから、外出されるのではないでしょうか。
玄関の鍵を、内側からロックができるものに交換や取り付けを行うことができます。
ここで多くの相談を頂くことが、「扉が古い」「扉が鉄」「引き戸」といった、扉に関するものです。「この扉は鍵の交換をすることができるのですか」とよくお問い合わせを頂きます。
しかし心配はいりません。ほとんどのものが新しい鍵に交換したり取り付けしたりすることが可能となっています。
どのようなものがあるか説明していきましょう。
●鍵タイプ
鍵タイプのものとしては、内側から開けるためのサムターンで開かないように設定できたり、サムターンを取り外すことができたりするものがあります。人気のある鍵は下記になっております。
・セーフティーサムターン
・安心錠(サムターン着脱式補助錠)
・MIWA U9 ND2S(サムターン着脱式補助錠)
・THL-56(サムターン着脱式補助錠)
・GMD-500(万能型取替用ドアノブ)
・デジタルロックスーパースリム(着脱サムターン仕様)
・デジタルドアロック5700(着脱サムターン仕様)
・HD-200(着脱サムターン仕様)
●電気錠タイプ
電気錠タイプのものに取り付けや交換することもできます。
電気錠は、カードや暗証番号で施解錠するものですから、鍵をなくす心配がなくなります。
また内側からのロックがとても容易にできることが特徴です。時間を設定することもできますから、家族が出かけている間や夜間などに内側から施錠することができます。
電気錠というと新しい扉にしか取り付けができないイメージがあるかもしれませんが、そんなことはありません。古い扉や引き戸であっても取り付けすることができますから、ぜひご相談頂きたいと思います。
おススメの電気錠は以下の通りです。
・ゼウスロック(ZRUS LOCK)
・ゲートマンネロ(GATEMAN Nero)
・ゲートマンネロ(GATEMAN Nero)V100
・ゲートマン(GATEMAN)F10
○勝手口からの徘徊防止
勝手口から出かけられるということもあるでしょう。
もしもそのようなことがあった場合には、鍵の取り付けや交換を検討してみましょう。
勝手口の扉にもさまざまなタイプがあります。
とても古いタイプや鍵がついていないというものもあります。引き戸や木製の扉ということもあるでしょう。
基本的には、おおむねどの扉でも取り付けや交換をすることができますからご相談頂きたいと思います。扉によっては、加工が必要になるものもあります。
どんな鍵を取り付けることができるかということですが、基本的には玄関と同じものを取り付けすることが可能になります。もちろん電気錠を取り付けすることも可能です。
勝手口には手軽に取り付けできるものが人気となっています・
・Kaba star neo セーフティリムロック
・Kaba star neo リムロック
・Kaba star Neo 引違戸錠6800
○窓やサッシからの徘徊防止
窓やサッシからの出入りが容易にできるようでしたら、そこから外出してしまうということも考えられます。
今までにもそのような習慣などがあったとしたら、対策を講じておいたほうがいいかもしれません。
窓の鍵(クレセント)を鍵付きのものに交換したり、サッシが開かないように簡易に取り付けることのできるものに交換することができます。
・鍵付クレセント錠
・サッシガード
○門扉や部屋の鍵の取り付けや交換について
ご自宅に庭があるような場合、ご本人が庭に出ることは問題なく、そのまま門扉を通って外出されないようにすればいいのではないでしょうか。
門扉においても鍵の取り付けや交換を行うことができます。
鍵付きでも電気錠でもどちらも問題なく可能となっています。
門扉においては、電気錠を取り付けることをおススメします。電気錠であれば、門扉と玄関の2つの扉の解錠をしなければならない手間を省くことができます。
家族がよく門扉を通る時間は、施錠せずに開放しておくことができます。また認知症の人を見守りたい時間だけに施錠設定することも可能です。
部屋の鍵については、取り付け自体は可能ですが、これはご本人の意思もあるかと思いますから、十分に検討してから行うようにしましょう。
いずれにしてもご相談頂きたいと思います。
○まとめ
玄関などからの徘徊防止についてお伝えしました。
冒頭にも申し上げましたが、徘徊防止のための鍵の取り付けや交換は、それほど難しいものではなく、簡単に取り付けすることができます。
とはいえ、認知症の人に対する対策になりますから、その状況に応じて取り付けを行うことをおススメします。場合によっては、ケアマネジャーさんとも話し合いをする中で、決定することがいいでしょう。
認知症の方だけでなく、家族も安心して自宅に住み続けることができるように応援していきたいと思います。
徘徊防止だけでなく、介護施設においても施工実績のある当社にぜひご相談頂きたいと思います。