入退室管理に手のひら静脈認証が活用される理由
企業や公共施設などの建物のセキュリティ対策として、入退室管理にさまざまな認証技術が採用されていますが、一部認証における偽装や紛失による不正侵入などの問題点も懸念されています。入退室管理に用いた手のひら静脈認証は、偽造や複製が困難で、強固なセキュリティ対策が実現できることから、入退室管理システムにおいて期待されている認証技術です。この記事では、入退室管理における手のひら静脈認証が注目される理由や、手のひら静脈認証の活用術などをご紹介します。
◎入退室管理におけるセキュリティの課題
組織などの建物や部屋の扉の入退室管理では、防犯性を高めるため、カード認証や暗証番号認証、生体認証などさまざまな解錠方法が活用されています。しかし、入退室管理におけるセキュリティの観点から課題も指摘されています。入退室管理に物理的な鍵を活用すると、盗難や紛失するリスクが伴います。入退室管理にカード認証や従来の金属の鍵を使用している場合、紛失や忘れにより第三者に悪用されると、不正に侵入される可能性は否定できません。また、内部においてもカードや鍵の貸し借りにより、機密情報や個人情報が保管されているサーバールームなどに、不正入室されるケースも考えられます。カード認証や従来の金属の鍵などは、持ち歩くため自己管理が必要です。入退室管理の性能が低い認証方式では、偽造やコピーされる可能性は否めません。指紋を活用して認証する指紋認証は、認証センサーに指を直接乗せて認証を行うため、指紋認証機器の残留から指紋をコピーされる危険性も潜んでいます。顔認証の場合、認証技術が低いと偽造された写真や動画などで侵入される恐れがあり、安全な入退室管理を確保することができません。最新の顔認証技術では、なりすましを検知するライブ検出機能などが搭載されているタイプも運用されています。生体認証を導入する際は、偽造やなりすましを防止する機能を確認することも重要です。入退室管理で認証する際に、環境変化や体調変化によって認証精度が低下することがあります。指紋認証は、手が濡れている場合や寒い季節で指が乾燥していると、認証取得が難しくなることや、指先の怪我などで指紋が変形した場合は、登録指紋データと一致しないため、再登録が必要です。顔認証の場合では、化粧や髪型による変化のほか、マスクや眼鏡の着用によって正しく認証が行えないケースもあります。入退室管理のこのような課題も解決し、高いセキュリティ性を求めるのであれば、性能の高い認証方式や二重認証などの対策が重要です。
◎入退室管理に手のひら静脈認証が注目される理由
入退室管理の扉の解錠方法には、カード認証や暗証番号認証のほか、顔認証、指紋認証、静脈認証などの生体認証などが、主に活用されています。なかでも手のひら静脈認証は、利便性が長けていることや、複製や改ざんが困難でハイレベルのセキュリティ管理が確保できることから、入退室管理で期待されている認証技術です。手のひら静脈認証は、盗難や紛失のリスクがありません。鍵やカードを入退室管理に活用している場合、常に持ち歩くため、紛失や忘れといったリスクがあります。一方で、手のひら静脈認証は、個人の異なる身体的特徴を活用して本人を確認する生体認証のひとつのため、従来の金属の鍵やカードなどを持ち歩く必要がありません。そのため、盗まれることや紛失する恐れがなく、なりすましによる不正アクセスを防止します。高精度認証技術を活用した手のひら静脈認証は、偽造や複製が極めて困難な認証方法です。指紋認証や顔認証は、視覚的な情報を基に認証を行いますが、手のひら静脈認証は、身体の内部にある情報を用いて認証する点が特徴です。手のひら静脈認証は、皮膚の下にある静脈を活用して認証するため、取り出すことが非常に難しいことから、防犯性に優れた認証技術といえます。セキュリティレベルが高い重要書類が保管されている場所やサーバー室などの導入に最適です。手のひら静脈認証は、環境や体調の変化によって認証精度が左右されません。手の指紋を活用する指紋認証は、汚れや汗などで指紋の状態が変化すると、認証精度に影響を及ぼすことがあります。一方で、手のひら静脈認証は、皮膚の表皮の下にある静脈を活用して認証するため、手の表面の汚れや怪我などをしている場合でも、安定した認証を実現します。手のひら静脈認証は、性能が高い認証技術やなりすましによる不正侵入を大幅に軽減できることから、厳密なセキュリティを実行できる認証システムです。
◎手のひら静脈認証の特徴
室内の安全性を高める手のひら静脈認証とは、体内に流れる血管の静脈パターンを活用した認証技術です。静脈中の還元ヘモグロビンに近赤外線を照射すると黒く移る性質を利用して、一人ひとり異なる手のひらの静脈情報を認証に活用します。手のひら静脈認証は、手を開いた状態で認証機器にかざすと、赤外線で個人の静脈情報を読み取りデジタル化します。事前に登録した手のひら静脈情報と、現場にいる本人の静脈情報を照合、認証を行い情報が一致した場合のみ認証が許可される仕組みです。静脈を活用した手のひら静脈認証は、どこにも触れずに認証が行えます。手のひら静脈認証は、非接触認証で認証機器に触れることがないため、衛生的な認証が行える点が特徴です。そのことから、手のひら静脈認証は公共施設や、企業など不特定多数の人が往来するエントランスや出入口のほか、衛生管理が求められる病院などの感染症対策にも貢献します。静脈を活用して認証する手のひら静脈認証は、年齢による皮膚の変化の影響を受けにくい認証技術です。入退室管理システムで活用している顔認証は、年齢を重ねることで顔の大きさや皺などが変化することから、一定期間を設けて再登録が必要になります。一方で、手のひら静脈認証で活用する静脈は、成長しても静脈パターンは生涯変化しないことから、認証リーダーに1度登録すると長期間な運用が可能な認証技術です。手のひら静脈認証は、最高レベルの認証精度を実現します。静脈認証には、手のひらのほかに、指先の静脈を活用して認証を行う指静脈認証が存在します。静脈認証の認識領域では、指静脈認証は指先を活用して行いますが、手のひら静脈認証は、手のひらの部分を活用して認証するため、静脈の本数や分岐などの情報が多いことから、詳細な情報を読み取ることが可能です。そのことから、手のひら静脈認証は精度が高い認証を実現できる認証システムといえます。また、他人受入率が指紋認証は0.001%以に対して、手のひら静脈認証は0.00001%以下と、誤認する確率が非常に低い認証方法のため、手のひら静脈認証は安定した認証が行えます。
◎オフィスで手のひら静脈認証を活用
オフィスでは、資産や機密情報、個人情報を保有していることから、建物や室内の扉の入退室管理のセキュリティ対策は重要です。カード認証を活用した入退室管理は、利便性が高い認証方法ですが、紛失や忘れによるリスクも発生します。指紋認証は認証リーダーに指を接触するため衛生面の不安や、顔認証はマスク着用時には外さなくてはなりません。オフィス運営において、扉の入退室管理システムに手のひら静脈認証を活用すると、紛失や忘れの心配がないセキュリティが高い認証や、非接触認証のため感染症対策などのさまざまなメリットが見込めます。企業では、労働基準法により従業員の適正な労働時間が義務付けられたことから、正確な出退勤管理が必要です。手のひら静脈認証に勤怠管理システムを連携すると、出入口の認証リーダーに手をかざすだけで、従業員の出退勤の管理を行うことが可能です。静脈認証技術を活用した入退室管理システムは、入退室履歴の記録を勤怠管理システムに自動転送することで、従業員の代理打刻や不正打刻も防止します。オフィスの出入口や執務エリアなどの入退室管理システムに、手のひら静脈認証を活用することで、従業員の適正な労働時間を管理します。また、セキュリティレベルが高い機密情報を保管しているエリアやサーバー室などの入り口にも手のひら静脈認証は最適です。情報漏洩は外部からによる不正侵入だけでなく、内部による不正入室で起きる可能性もあるため、室内における入退室管理のセキュリティ対策も重要です。手のひら静脈認証はなりすましが困難なため、不正侵入による情報漏洩対策や、抑止効果にも貢献します。入退室できる人物を、サーバー室に携わるエンジニアや管理者のみにアクセス権限を付与することで、より堅牢なセキュリティ対策を実施します。
◎官公庁で手のひら静脈認証を活用
公共の施設や建物では、多種多様な人が出入りすることから、不審者や不正侵入を防ぐために、常時開放エリアや従業員が業務する執務エリア、関係者以外の立ち入り禁止の重要エリアなどの出入口を分けることが必要です。入退室管理システムでは部屋ごとのセキュリティレベルに応じた設定が行えます。常時開放エリアにおいて、手のひら静脈認証技術を用いたセキュリティゲートに活用すると、利用者の入退室の管理が行えるほか、ゲートが混み合う時間帯も最速で認証が行えるため、入室者の通行もスムーズです。執務エリアでは、入退室管理が行える手のひら静脈認証に従業員のみに入室権限を設けることで、部外者の侵入を阻止します。また、執務エリアの手のひら静脈認証システムに勤怠管理システムを連携すると、従業員の勤務管理を効率化することが可能です。重要書類や記憶媒体を保管している重要エリアにおいては、異なる認証方法を組み合わせ認証する二重認証機能を活用することも、有効な手段です。たとえば、手のひら静脈認証と顔認証、手のひら静脈認証と指紋認証などを組み合わせることで、扉のセキュリティをグレードアップします。手のひら静脈認証システムでは、システムログ機能を搭載しており、入退室において万が一トラブルが発生した場合、だれが入室したのか、確認することも可能です。建物や部屋の出入口に活用した手のひら静脈認証は、手のひらで簡単に認証が完了します。指紋認証や指静脈認証では、指定された場所に正確に置く必要がありますが、手のひら静脈認証は、認証リーダーに手を広げてかざすだけで認証ができるため、子どもや高齢者においても使いやすい認証方法といえます。また、認証リーダーに直接触れずに認証が行えるため、心理的ストレスも軽減します。
◎空港で手のひら静脈認証を活用
空港では、航空機のハイジャックやテロなどの影響を受けやすいことから、徹底したセキュリティ対策により、旅行客が安全に利用できるように保安検査場や出発ゲートにおいては、厳重なチェックが実施されています。近年、空港では本人確認においても厳格な認証が求められていることから、なりすましが困難な生体認証を活用した認証方法の取り組みが進んでいます。空港に適した生体認証の手のひら静脈認証は、体内にある静脈を活用して高度な認証技術で認証するため、なりすましや偽造のリスクが低い認証システムです。誤認率が非常に低い手のひら静脈認証を出発ゲートに活用すると、搭乗者を厳正なチェックインで確認することができ、信頼性が高い認証システムといえます。手のひら静脈認証の認証においても、手が汗などで濡れている場合や、汚れている場合でも赤外線センサーで認証するため、認証技術に影響を受けない点も特徴です。また、休暇シーズンの保安検査場や出発ゲートでは、多くの旅行客が利用するため、長蛇の列に並ばなくてはなりません。保安検査場や出発ゲートの入退室管理に手のひら静脈認証を活用すると、混雑の緩和に貢献します。手のひら静脈認証はスピーディーに本人確認が行えるため、搭乗に関する手続きも円滑にします。手のひら静脈認証を活用するには、本人確認するために搭乗手続きなどの際に、手のひら静脈を登録すると、旅行客は保安検査場や出発ゲートを手のひらのみで、通行することが実現します。認証の際には、手のひらを近づけるだけで認証が行えるため、マスクを外す必要がありません。また、空港では多種多様な人物が利用するため、非接触認証を活用した手のひら静脈認証は、感染症による拡大を低減する有益な機能ともいえます。
◎まとめ
静脈を活用した手のひら静脈認証は、手のひらに赤外線を充てて静脈パターンを読み取る認証方法のため、偽造や改ざんによる不正侵入を防止する認証システムです。組織において入退室管理に手のひら静脈認証を活用すると、セキュリティ向上や業務効率化に貢献します。カギ舎では、高性能技術で品質の高い手のひら静脈認証を取り揃えております。オフィスや公共施設、医療現場などの高度なセキュリティ性が求められる場所に、手のひら静脈認証をご検討の方はお気軽にご相談ください。