電気錠システムで使用する美和ロックの制御盤
電気錠は、戸建て住宅やマンションだけでなく、オフィスビルや学校、工場、施設など、さまざまな建物で使用されています。電気錠システムを導入すると、建物のセキュリティを守る基本的な機能だけでなく、入退室する人の管理、時間や曜日での管理など、建物の用途に合わせた機能を使うことができます。この電気錠システムを管理するために重要なのが、制御盤と言われる機械です。この記事では、制御盤とはどのような機器なのか、また鍵メーカーの美和ロックの制御盤には、どのような製品があるのかご紹介します。
◎電気を動力にした電気錠システム
電気錠システムとは、鍵の施錠や解錠といった操作を自動で行うための設備で、電気を動力として動いています。鍵の操作を自動化することで、鍵を持たずに解錠でき、ドアが閉まれば自動で施錠するため、利便性やセキュリティ性の高い鍵と言われています。IDカードや暗証番号、指紋認証、顔認証などによる解錠が可能で、あらかじめ登録してあるユーザーのみが解錠できるよう入室する人を制限したり、誰がいつどこで入退室したかという記録を残して、入退室の管理をしたりすることができます。また合鍵を作る必要がなく、鍵の受け渡しなども不要なため、面倒な鍵の管理をする必要がありません。解錠や施錠の操作を遠隔から行うことができるため、わざわざドアまで行って施解錠する手間がいらず、1カ所で複数の電気錠を一括操作することもでき、建物全体の管理がしやすくなるシステムです。このような特徴から戸建て住宅でも防犯対策を強化するために電気錠システムを導入する住宅が増えており、集合住宅では、集合エントランスを設けて電気錠とインターホンシステムを連動させる、ハイセキュリティマンションも増えています。さらにオフィスビルや工場、病院や介護施設など、不特定多数の人が使用する建物でも、入退室する人の管理や非常時や休日の管理がしやすくなるため、電気錠システムの導入が進んでいます。電気錠システムは基本的に、ドアに設置する電気錠本体とドアの外側に取り付ける認証装置、室内側に取り付ける操作器と制御盤が連動して動作する仕組みになっています。電気錠は、開き戸や引き戸、自動ドア、大きなドアなどに対応できる、さまざまな種類が製造されています。鍵を解錠するための認証装置も、暗証番号用のテンキー、IDカード用のカードリーダー、指紋や顔を認証する生体認証装置など、建物の用途に合わせた装置を選ぶことができます。室内側から解錠や施錠ができる操作器もさまざまで、押しボタン式やカードリーダー式、インターホン式などがあり、室内のいろいろな場所に何台か取り付けて連動させることも可能です。電気錠システムは、電気錠を複数台取り付けたりインターホンシステムと連動させたり、インターネットとつなげてPCで管理するなど、ほかの機器を連動させることでいろいろな機能を活用できます。連動する機器が多くなれば、システム全体も複雑になりますが、その電気錠システム全体を滞りなく動かすための要となるのが制御盤といわれる装置です。

◎電気錠の管理や電鍵供給を行う制御盤
制御盤は、システムの制御や管理、電源供給を行うための機械なので、建物に電気錠を導入する際は、必ず制御盤も取り付ける必要があります。複数の電気錠を設置する場合も、ひとつの制御盤で一括管理することができ、制御盤によって電気錠とほかの機器をつなげて連動させることができます。制御盤によって電気錠システムと連動できるのは、インターホンや火災報知器、自動ドア、エレベーター、シャッター、勤怠管理システムなどさまざまです。取り付ける制御盤の種類によって、設置できる電気錠の台数やシステムに加えられる機器が異なるため、建物の用途や必要な機能に合わせて制御盤を選ぶことができます。電気錠を解錠する際は、認証装置から送られた情報と登録してあるユーザー情報を制御盤で照合し、情報が合っていれば電気錠が解錠されるようになっています。このような施解錠の管理やユーザー情報の管理、施錠モードの設定などを制御盤で行います。また制御盤のなかには、基本的な機能以外の機能を使用できる製品もあります。例えばインターロック機能は、高いセキュリティが必要な設備で多く使用されている機能で、2つのドアが同時に開かないように2つの電気錠を制御するなど、一定の条件が整わないと鍵の解錠ができないようにしてセキュリティを高めるための機能です。制御盤には、停電時や非常時に使用できる機能が付いているものもあります。電気錠は電気を動力としているため、停電などによって電気が供給されないと、鍵の操作ができなくなってしまいます。そのため、火災報知器などと連動して、非常時にはすべての鍵が解錠するパニックオープン、反対に施錠するパニッククローズといった機能が付いている制御盤があります。また停電時でも一定の時間は通常と同じ動作ができるよう、停電用バッテリーが内蔵されている制御盤やオプションで付けられる制御盤もあります。また、介護施設などでは窓にも電気錠を付ける場合がありますが、窓を少し開けた状態でロックできる採風システムを取り入れて、採風錠と連動させられる制御盤などもあります。

◎戸建て住宅や集合住宅用の美和ロック制御盤
美和ロックは、鍵や錠前の製造、販売を行っている日本の鍵メーカーで、制御盤を含む電気錠に関するさまざまな製品も製造しています。美和ロックでは、住宅用の小型の制御盤から、公共施設やオフィスビルなどで使用できる大型の制御盤まで製造されています。まずは戸建て住宅や集合住宅用の美和ロックの制御盤をご紹介します。戸建て住宅で導入できる美和ロックの電気錠システムには、制御盤BAN-MS1が使用できます。美和ロックのBAN-MS1は小型タイプの制御盤で、取り付けられる電気錠は1か所のみの1回線用、住宅で使用するための基本的機能のみが付いたシンプルな制御盤です。操作盤と一体型になっている制御盤なので、解錠と施錠の操作も行うことができます。制御盤の表示器で、電気錠の施解錠状態やドアの開閉状態を確認することができ、異常が生じた場合も表示ランプでお知らせしてくれます。ドアを閉じたときの自動施錠は、モード変更をして設定することができ、インターホンやタイマーとも連動可能です。戸建て住宅でさらに機能性の高い電気錠システムを導入したい場合やマンションの共用エントランスで使用する電気錠システムには、美和ロックのBAN-DS1とBAN-DS2という制御盤を使用できます。美和ロックのBAN-DS1は1回線用の制御盤なので、設置できる電気錠は1カ所です。BAN-DS1も制御盤から施解錠の操作ができ、施解錠状態やドアの開閉状態を確認できる操作表示部が付いており、異常が起きた場合は表示ランプやブザー音で警告してくれます。インターホンやタイマー、火災報知器など、ほかの機器と連動させることも可能です。美和ロックのBAN-DS2は2回線用の制御盤で、玄関と門扉など2カ所に電気錠を取り付けたい場合に使用できます。操作部と表示部が2つずつあるため、どちらも1つの制御盤で操作や状態の確認を行うことができます。基本的な機能は美和ロックのBAN-DS1と同じですが、2回線それぞれ独立して制御したり2回線とも一括で制御したりすることができ、インターロック制御を行うことも可能です。BAN-DS1とBAN-DS2には停電補償機能が付いていないため、必要な場合は美和ロックのバッテリーユニットBAN-D.BATをシステムに加えることができます。さらに美和ロックには、ベルサアクセスコントローラというマンション用電気錠システムがあります。美和ロックのベルサアクセスコントローラは、非接触IDキーを使用して解錠の操作をすることができる集合住宅専用のシステムで、制御盤は解錠方法によって異なる3つの種類があり、それぞれシステムの大きさに合わせたさらに3つの型があります。美和ロックの制御盤CMRS2-211、210、311は、ハンズフリーで解錠できるシステムで、IDキーをカバンに入れたままでも解錠できるシステムです。制御盤CMNT-211、210、311はIDキーをかざすだけで解錠できるノンタッチキーのシステム、制御盤CMFL-211、210、311はFaliCaキーをかざして解錠できるシステムです。美和ロックのベルサアクセスコントローラは、宅配ボックスやエレベーター、駐車場の出入口などマンションの他の設備とも連動させることが可能で、エントランスと同じIDキーを使用して操作することができます。
◎施設や事業所向けの美和ロック制御盤
美和ロックのシステムは、住宅以外にも施設や事業所などでも広く活用されています。電気錠を複数台取り付けて、さまざまな機器とも連動させながら使用します。ここでは、複雑なシステムの管理や制御を行うことができる、中型から大型の美和ロックの制御盤をご紹介します。ビルや工場、病院などの事業所でシステムを導入する場合、設置したい電気錠の数に合わせて美和ロックの制御盤を選ぶことができます。設置台数が少なければ、1回線用のBAN-DS1や2回線用のBAN-DS2も使用できますが、台数が多い場合は多回線用の美和ロックBAN-ASシリーズの制御盤を使用できます。美和ロックのBAN-ASシリーズの制御盤は、設置台数が4カ所以内で使用できるBAN-AS 4から、BAN-AS8、BAN-AS 16、BAN-AS 24、BAN-AS 32まであり、最大で32台まで設置可能です。美和ロックの制御盤BAN-AS 4とBAN-AS 8は、停電補償用のバッテリーをオプションで付けることができ、BAN-AS 16以上は停電補償が標準装備となっているので、停電時でも30分間は通常通りの動作を行うことができます。美和ロックのBAN-ASシリーズの制御盤はすべて、設置しているそれぞれの電気錠の解錠操作、施解錠状態とドアの開閉状態の表示ができ、インターホンやタイマー、火災報知器などの機器と連動することも可能です。さらにオプションで美和ロックの週間タイマーBAN-AS.WTを制御盤に内蔵することができ、時間帯や曜日によって入退室できる人の制限などの設定を変えて、システムを管理することもできます。特別養護老人ホームなどの施設で美和ロックのシステムを導入する場合は、共用のドアに電気錠を設置するのに加えて、居室の窓に採風システムを取り入れることも可能です。そのようなシステムでは、美和ロックの採風錠EL-101を各居室の窓に取り付けて、美和ロックの制御盤BAN-DS1やBAN-DS2と連動させることができます。研究室や重要施設の高いセキュリティが求められる設備、徹底した衛生管理が必要な食品工場などでは、インターロック制御ができる美和ロックの制御盤BAN-DS2を使用できます。また、病院のトイレでインターロック制御ができる、美和ロックの2居室共用トイレ専用制御盤BAN-DS2Cは、2つの病室で1つのトイレを共用している場合に、トイレが未使用のときだけトイレに入室できるよう電気錠を制御できる制御盤です。このほかにも美和ロックのCMCU-801は、電気錠の制御に加えて出入管理ができる装置で、IDカードや静脈認証などの認証装置に対応して入退室の履歴を管理したり、カードや指紋の登録をしたりすることができます。同じような機能がある美和ロックのSMFA-101は、オフィス向け出入管理システムの制御盤で、電気錠の制御を行いながら管理システムと連動し、IDカードを使用したオフィス内の入退室管理を行います。

◎まとめ
制御盤は、電気錠システム全体の制御や管理を行う、システムの要となる機器です。美和ロックには住宅で使用できる小型の制御盤から、事業所などで複数の機器を連動して使用するための中型や大型の制御盤を製造しており、使用したい機能や建物の用途に合わせて美和ロックの制御盤を選ぶことができます。カギ舎では、美和ロックのシステム導入やリニューアル、修理などの工事を承っております。365日24時間お問い合わせを受け付けていますので、美和ロックの制御盤に関する質問やお悩みがありましたら、ぜひお気軽にご連絡ください。