ISO9001の運用を支える入退室管理システムの活用
ISO9001は、品質を維持し向上させる仕組みを定めた規格です。認証の取得が到達点ではなく、取得した後も日々の運用を確認し、継続的に改善することが求められます。入退室管理システムを取り入れると、誰がいつどのエリアにいたのかが履歴として残り、管理の手間を増やさずに、日々の運用状況を確認するための材料を蓄積できます。この記事では、ISO9001の仕組みと認証後の運用の課題、入退室管理システムの活用、顔認証リーダーFE-500をご紹介します。
◎品質を維持し向上させるISO9001の仕組み
ISO9001は、品質マネジメントシステムの国際規格です。品質マネジメントシステムとは、顧客の要求を満たす製品やサービスを安定して提供するために組織に備えておく一連の仕組みを指します。ISO9001が評価するのは、製品そのものの性能ではなく、その製品を生み出す組織の仕組みが定めた通りに機能しているかどうかです。品質を保ち続けるためには、担当者が替わっても同じ品質が再現される状態を維持し続ける必要があり、ISO9001はその状態を支える要求事項を体系的にまとめています。
ISO9001の運用は、計画と実行、検証と改善を繰り返すPDCAの考え方を土台にしています。品質方針と品質目標を定め、達成するための手順を決めて実行し、内部監査やマネジメントレビューで達成の状況を確かめ、ズレが見つかれば是正処置を講じる流れです。こうしたサイクルを繰り返すことによってISO9001は、現在の品質を保つだけでなく、より良い状態へと仕組みを改善していきます。ISO9001が品質の維持と向上の両方を特徴としているのは、この繰り返しを前提にしているためです。
PDCAを回すには、決めたことと実際に行ったことの両方を把握できる状態が必要です。ISO9001では、これを文書化した情報と呼び、文書と記録という2つに分かれます。文書はこれから行う手順や基準を示すもので、品質マニュアルや作業手順書が該当します。記録は決めた通りに実施した結果を示す証拠で、教育訓練記録や設備点検記録がその例です。文書は、これからどうするかを示すのに対し、記録は実際にどうしたかを示すという役割の違いがあり、ISO9001の改善は後者の記録を材料にして進みます。
ISO9001の認証を取得した組織は、その後も定期的に審査を受けます。維持審査は年に1回、認証の有効期間にあたる3年ごとに更新審査が行われ、仕組みが機能し続けているかが確認されます。審査で見られるのは、規程がそろっているかよりも、規程通りに運用され、その結果を受けて改善につながっているかです。ISO9001は取得して終わる資格ではなく、取得した後も日々の運用によって品質を維持し向上させ続けるための枠組みです。ISO9001の運用を続けるうえでは、業務のなかで実態が自然に残る仕組みが支えになります。人の出入りを扱う入退室管理システムもそのひとつで、入退室管理の履歴は改善の材料になります。
◎ISO9001認証取得後の運用をめぐる課題
ISO9001の運用が難しくなるのは、認証を取得した後です。取得までは、規程の整備と審査への準備という目標が明確ですが、取得後はISO9001の仕組みを日々の業務のなかで回し続けることになります。品質マニュアルも作業手順書もそろっているのに、その通りに運用された実態だけが手元に残っていないという状況が起こります。ISO9001が求める改善は、PDCAを繰り返しながら現場の実態を把握し、その都度手順や体制を見直していく取り組みです。どの工程で、誰が、どのように作業していたのかが分からなければ、改善すべき箇所を具体的に判断することも難しくなります。
ISO9001の改善が進みにくくなる理由のひとつが、記録の残りにくさです。記録を残す作業は、決められた作業そのものとは別の手間と受け止められやすく、後回しになりがちです。人の出入りもそのひとつで、入退室管理をしていない現場では、試験室や部品保管エリアの入口に名簿を置き、氏名と時刻を記入してもらう運用が残っている現場もあります。手書きの名簿は記入漏れや書き忘れが起こりやすく、正確な入退室状況を把握しにくいという課題があります。名簿による入退室管理ではISO9001の改善を組み立てる材料としては不十分といえます。
記入漏れの多い入退室管理では、いつ誰がその場にいたかを遡ることが難しくなります。この不十分さが表面化するのが、不適合が起きた場面です。不適合とは、ISO9001の要求事項や組織が定めた基準を満たしていない状態のことで、原因を特定して是正処置を行うことが求められます。たとえば、製品に不具合が見つかった場合、入退室管理を導入していない現場では、記録の不足によって必要な情報が得られず原因を絞り込めない可能性があります。原因を絞り込めないまま是正処置を組み立てると、ISO9001の求める具体的な改善につなげにくくなります。
力量に関する要求でも同じことが起こります。ISO9001では、教育や訓練、経験を通じて身についた能力を明確にし、その力量を備えた人が業務にあたるよう求めています。誰が力量を備えているかは書類を整備することで示せますが、力量を確認した人だけが対象エリアに入れる状態を作るには、記録を残すだけでなく、入退室管理の仕組みも必要です。入退室管理システムで人ごとに通行できるエリアや時間帯を設定すれば、資格や教育の状況に応じて入室できる人を制限できます。ただし、認証方式によっては通行した人が本人であるとは限らないため、入退室管理の履歴と力量評価の記録を結びつけるには認証方式の選択が重要になります。
記録を正確に残すには、現場の管理負担が増えるという課題もあります。とくに入退室管理を手作業やExcelなどに記録する場合、記入や集計のための時間と手間が発生します。継続的な改善を回し続けるには、現場の手間を増やさずに実態が残る仕組みを整えることが重要です。その手段のひとつとして活用できるのが、入退室管理システムです。
◎顔認証で品質管理を支える入退室管理システム
品質管理を支える仕組みのひとつとして活用できるのが、入退室管理システムです。入退室管理システムでは、入口の認証装置がカードや顔の情報を読み取り、登録情報と照合して通行の可否を判断し、認証された人だけが入室できる状態を作ります。入退室管理システムのもうひとつの役割が、入退室履歴の自動記録です。入退室管理システムでは認証のたびに、いつ、誰が、どの出入口を通ったのかが履歴として残ります。手書き名簿のように本人の記録に頼らないため、記入漏れや書き忘れをおさえながら、日々の入退室状況を蓄積できます。こうした入退室管理の履歴は、ISO9001の運用を継続的に改善するうえで、現場の実態を把握するための材料として活用できます。
品質管理を目的に入退室管理システムを導入するなら、認証方式の選択も重要です。カードや暗証番号は、貸し借りや共有ができるため、認証情報を使った人と実際の通行者が一致しているかを確認しにくい場合があります。そこで入退室管理システムで活用できるのが、顔や指紋など身体的な特徴を使って本人確認をする生体認証です。なかでも顔認証は、カメラで捉えた顔の特徴を数値化し、登録済みのデータと照合して本人かどうかを判断します。認証情報を他人に渡したり共有したりしにくいため、登録した本人が通行したことを前提に入退室管理記録を残しやすくなります。顔認証には、平面的に顔を捉える2D方式と、赤外線を用いて立体的に捉える3D方式があり、3D方式に加えてなりすまし検知機能を備えた製品なら、写真や動画を使った不正な認証への対策にもつながります。実際の通行者と入退室管理システムの履歴を一致した状態にすることが、ISO9001の改善を進めるうえでも重要です。入退室管理システムでは、誰がどのエリアに入れるかをシステム側で管理できるため、品質に関わるエリアへの立ち入りを限定できます。社内資格の認定を受けた担当者だけが試験室や部品保管エリアへ入室できるようにすれば、ISO9001が求める力量の管理と入退室管理を結びつけることが可能です。資格の更新や人事異動に合わせて権限を変更することで、必要な人だけが対象エリアへ入れる状態を、入退室管理システムで維持できます。
顔認証の入退室管理システムは、現場の作業を止めずに実態を残せる点も特徴です。手袋をつけたままや、両手がふさがっている状況でも、入退室管理システムの認証装置に顔を向けるだけで通行できます。マスクを外さずに認証できる製品であれば、防塵マスクの着用が求められる工程でも作業を中断することなく入退室管理の履歴を残せます。現場への負担を最小限におさえた入退室管理システムを導入することで、ISO9001の運用を無理なく続けられる環境が整います。不適合が起きた場合にも、顔認証による入退室管理システムの履歴が原因究明の手がかりになります。不具合が見つかった工程の時間帯を絞り込み、どの時間にどのエリアへ誰が入っていたかを入退室管理システムの履歴から確認すれば、作業記録や工程記録などと照らし合わせながら原因を追跡できます。製品や工程の履歴を遡って追跡できるトレーサビリティは、ISO9001が重視する考え方です。顔認証の入退室管理システムが積み上げる履歴は、原因究明や是正処置を検討する材料となり、ISO9001の運用状況を確認するための継続的な改善のサイクルを支える資料として活用できます。
◎入退室管理の記録を残せる顔認証リーダーFE-500
KJ TECH japanのFE-500は、入退室管理システムの認証装置として使用できる顔認証リーダーです。入退室管理システムに設定できる認証方式は、顔、カード、暗証番号、QRコードの4種類です。2つの方式を両方求めるAND設定と、どちらか一方で解錠できるOR設定を選べます。一般エリアはカードのみ、試験室など重要なエリアは顔認証とカードの両方というように、ISO9001で管理したい水準に合わせて入退室管理システムの認証条件を柔軟に設定できます。顔認証の識別にかかる時間は0.3秒未満で、顔認証率は99.99%。最大2メートル離れた距離からでも認識できるため、スムーズな入退室が可能です。FE-500は顔を立体的に捉える3D認証方式に加えて、なりすまし検知機能も備えており、写真や動画を使った不正な認証にも対応します。マスク着用時の認証にも対応しているため、防塵マスクをつけたまま工程エリアを行き来するような現場でも、マスクを外さずに入退室管理できます。顔が50,000件、カードが200,000件まで登録できるため、従業員に加えて構内で作業する協力会社の担当者まで登録でき、入退室管理の履歴の蓄積が可能です。本体は、IP65の防水防塵性能を備え、屋外に面した出入口の入退室管理システムにも組み込めます。対応温度は、-20℃〜60℃、湿度は10%〜90%のため、屋内外を問わず安定した動作が可能です。設置場所を選ばずに稼働し続けられることが、ISO9001が求める記録の継続性を支えます。
◎ISO9001の運用に役立つ顔認証リーダーFE-500の導入事例
FE-500を導入することで、入退室管理の履歴が自動で残ります。ISO9001の運用を継続的に改善するために必要な情報を、日々の業務のなかで自然に蓄積できるようになります。
⚪︎産業機械メーカーの工場に顔認証リーダーFE-500を導入
産業機械を手がける組立工場では、部品保管エリアへの立ち入りを名簿で管理していましたが、記入漏れが重なり、運用実態が残らないという課題がありました。部品保管エリアの入口にFE-500を設置し、認証した人だけが通行できる入退室管理システムへ切り替えたところ、名簿に代わる入退室管理の履歴が自動で蓄積されるようになりました。不具合が見つかった際は、該当エリアの入退室管理システムの履歴確認ができ、原因究明がしやすくなりました。ISO9001の維持審査では、入退室管理の履歴を運用の実態を表す記録として提示しています。
⚪︎電子部品企業の試験室に顔認証リーダーFE-500を導入
電子部品企業の試験室では、機器の操作に社内資格を設けていたものの、資格のない担当者も立ち入れる状態でした。試験室の入口にFE-500を導入して入退室管理システムを構築し、社内資格の認定者だけに通行の権限を与えたことで、力量が確認された担当者だけが試験を担う環境が整いました。顔認証により資格者本人が入室したことが入退室管理の記録として残る点も、力量の管理を支えています。資格の認定や更新があった際は権限を設定し直すだけで済み、ISO9001の教育訓練記録と入退室管理システムの履歴が一致した状態を保てています。
◎まとめ
ISO9001は認証を取得した後も、決められた手順を実行するだけでなく、現場の実態を把握し、改善につなげることが重要です。顔認証を取り入れた入退室管理システムなら、通行のたびに入退室履歴を残せるため、現場の記録作業を増やさずに運用状況の確認や原因究明に活用できます。カギ舎では、入退室管理システムに活用できる顔認証リーダーFE-500を取り扱っております。ISO9001の運用に入退室管理システムの導入をご検討の方は、お気軽にお問い合わせください。












