自動ドアのセキュリティ強化には電気錠
自動ドアは、マンションや商業施設、病院などのさまざまな建物の出入口に設置されています。近年では防犯対策や利便性の向上のために、ピッキングされづらい鍵や施解錠の時間帯が制限できるタイプなど、電気錠を備えた自動ドアの導入が増えています。この記事では、自動ドアの開閉の仕組みや自動ドアの電気錠の解錠方法及び、導入事例をご紹介します。
◎自動ドアの扉の種類
自動ドアは、商業施設やマンションの出入口などで見かける引き戸や、開き戸などのさまざまな種類が存在します。引き戸式は大きく分けると、1枚のドアだけを左右どちらかの一方に動かす片引き戸式と、2枚のドアを中央から左右に動かして開く両引き戸式があります。片引き戸式には開口部が2枚の戸からなる二重引き戸式の自動ドアもあります。連戸とも呼ばれドアを二重に収納できるため一般的な引き戸より、開口を広々と確保することができます。引き戸式は横にスライドするため、ドアの前後のスペースを有効活用することができます。開き戸式は扉が前後に開け閉めするドアです。引き戸式のようにドアを収納するスペースが不要なことが特徴となっています。しかし、開く側に人がいると怪我をするなど危険性があるため、補助センサーなどの強化が必須になります。折り戸式は扉をコンパクトに折り曲げて左右に開閉するドアのことをいいます。戸袋スペースの必要がなく、小さいスペースでも広く開けることができる自動ドアです。一般的にはあまり目にしませんが、通路の間仕切や作業室などに多く設置されています。回転ドア式とは、垂直軸に4枚のドアを取り付け回転することで通行できる構造で、室外と室内を常に遮断していることから冷暖房効率性が高い自動ドアといえます。

◎自動ドアの開閉の仕組み
自動ドアとは、センサーが人や物の接近を感知すると、人力でなくモーターの力で扉が開き、通過すると扉が再び閉じ自動的に開閉するドアのことをいいます。自動ドアはセンサー・コントローラー、モーター順に作動し、ドアを開閉する仕組みになっています。センサーには自動ドアを開けるための起動センサーや、ドアを通過する際にドアにはさまれないよう監視する補助センサー、ドアの衝突防止するための保護センサーなどがあります。起動センサーには、熱線式や光線反射式、超音波式、タッチ式、マットスイッチ式などが運用されています。熱線式とは、人の体温などの熱を感知して作動するセンサーです。光線反射式は、人や物体に赤外線等を照射して検知するとドアが開く自動ドアで、現在は主流になっているセンサー方式になります。人の動きを超音波の反射で判断してドアを開閉する超音波式は、反応が早く検知にムラが少ないセンサーです。タッチ式は、手などでタッチプレートを押すタイプや、開閉口に手をかざすタイプがあります。ひと昔前に多く用いられていたマットスイッチ式は人や荷物の加重を検知してドアが開閉するセンサーです。コントローラーはセンサーやモーターと接続されており、センサーからの信号をモーターに伝える働きをする頭脳部分になります。ドアの移動速度を記憶し開閉するときの速度を微調整することで、安全性が確保します。自動ドアの開閉するための動力となる部分がモーターです。危険な状態な場合には、正確に停止する素早い反応機能も備わっています。そのほかにもガイドレール、ベルト、吊下式のレール、戸車などで、自動ドアは構成されています。自動ドアは、目の前に立ち止まらずとも自動的に開閉するため、利便性の高さがメリットとしてあげられます。荷物で手がふさがっているときや、子どもの手を引いているときもスムーズに通行ができます。オフィスや工場などで台車を使用している場合に、押したまま通過することができるので、ドアを開けるなどの手間がありません。自動ドアの開閉方法においては、押して開くタッチ式の自動ドアもありますが、手を近づけて開けるタイプや、ほとんどが自動ドアに触れることがないハンズフリーなので衛生的です。衛生管理が必要な病院や食品工場などには欠かせない機能です。自動ドアは手動ドアのようにドアが開きっぱなしにならないことから、特に店舗やオフィスの室内で空調管理をしている場合に、空気が外に逃げにくくなるので節電になり経費削減が狙えます。段差がなくバリアフリーのため身体の不自由な方や高齢者の方に優しい構造で、車椅子やベビーカーなどを押してドア開ける負担が減り、扉を快適に通行できることも特徴のひとつです。
◎自動ドアに使われる鍵の種類
自動ドアに使用している鍵には、レバータンブラー錠、シリンダー錠、電気錠などがあります。レバータンブラー錠は、丸い棒状の鍵の先に突起が付いており、鍵穴は前方後円墳のような形をしていることが特徴で、別名では棒鍵と呼ばれることもあります。現在では、南京錠や古い住宅、引き出し、古いタイプの自動ドアなどに使用されています。レバータンブラー錠は、鍵穴からなかをのぞくことができるため、防犯性が低い鍵といえます。シリンダー錠は円筒形の本体のなかに、外筒と内筒の2つの組み合わせで構成されており、鍵穴に鍵を差し込むと、シリンダーの内部にあるタンブラーという障害物が鍵と合致すると、鍵が回りドアが解錠する仕組みになっています。シリンダー錠のなかには、鍵の片方がギザギザした形状になっているピンシリンダー錠や、鍵の両側に山型の加工がしてあるディスクシリンダー錠があります。ピンシリンダー錠やディスクシリンダー錠は、低価格で簡単に合鍵などが作りやすい反面、ピッキングされやすいデメリットもあります。ディンプルシリンダー錠は現在主流の鍵で、表面に丸いくぼみが複数空いており、鍵先が丸くなっているため鍵穴の挿入が滑らかです。ディンプルシリンダー錠には上下左右にピンがあり、鍵とくぼみが一致するには数億〜数兆通りある鍵もあります。そのため空き巣などのピッキングに要する時間をかせぎ、犯行を抑止することができます。住宅の玄関ドアやオフィスビルの出入口などに、電気錠を備えていることが増加していますが、自動ドアも防犯対策のため電気錠化が進んでいます。電気錠はさまざまな解錠方法があり、シリンダー錠のように鍵穴がないためセキュリティの強化に役立ちます。

◎鍵を電気錠にしてセキュリティ強化
電気錠とは、電気的に施解錠する設備を組み込んだ錠前のことをいいます。自動ドアに電気錠を組み合わせると、自動的に開閉するドアに鍵の施解錠もオートロックで行えるようになります。自動ドアに電気錠を導入することで、セキュリティ面の強化も期待できます。電気錠は、電気錠操作器に暗証番号式やカード式などで操作して解除するため、シリンダー錠のような鍵穴が存在しないので、ピッキングされることがありません。逆にレバータンブラー錠は、シンプルな作りで専用器具があれば簡単にピッキングなどの不正解錠に弱いため、玄関ドアなどに使用しているのであれば、防犯力が高い電気錠タイプの鍵へ交換することを検討しましょう。レバータンブラー錠やシリンダー錠は物理的な鍵が必要ですが、自動ドアの電気錠は鍵を持ち歩くことがないので鍵の紛失のリスクがありません。日頃から沢山の鍵を持ち歩き鍵の管理にストレスを感じている方には、キーレス化することで解消します。ほかにも不特定多数の人が利用するレンタルスペースや、宿泊施設などでも活用することができます。鍵の受け渡しが不要となり暗証番号などを伝えるだけで、利用者は当日現地で暗証番号を押しドアの解除を行います。電気錠は、すでに設置してある自動ドアに後付けで取り付けることも可能です。自動ドア本体を交換する場合と比較すると、施工費などのコストを安く抑えられます。自動ドアの電気錠には、アンチパニック機能が付いてタイプもあります。アンチパニック機能とは火災や地震などの非常時に、施錠されているドアを直ちに解除し自動的に開放するシステムです。病院やスーパー、商業施設などの利用者が多い自動ドアの電気錠に運用されており、火災などの非常事態が起きた際に、避難通路を確保するためにとても有効性が高く優れた機能となっています。
◎自動ドアにおける電気錠の解除方法
自動ドアに使用されている電気錠の解錠方法においては、多様な種類が運用されており、なかには解錠方法を用途に合わせて選択できるタイプもあります。電気錠は暗証番号式、カード式、生体認証式、スマートロック式などの解錠方法があります。暗証番号式とは任意で決めた数字の組み合わせを、正しい順番で入力することで施錠、解錠を行います。押しボタン型は同じ番号を繰り返し押すことで、すり減り具合で番号を憶測される恐れがあるため、タッチパネル型や数字をランダムに表示するモデルもあります。近くに人が居た場合に用いるのぞき見防止機能や、ゲスト用に一時的に発行できる暗証番号など、さまざまな優れた機能が備わっている暗証番号式の電気錠もあります。ICカードをかざして自動ドアの施解除を行うICカード式は、普及率が高く主にオフィスなどで運用されています。交通系のICカードや電子カードの暗号化技術を応用した電気錠で、そのほかにもICタグに対応したキーホルダーやシール型などもあります。子どもに鍵を持たせなければならないシーンで紛失が心配な場合には、ICタグが適しています。万が一、ICカードやICタグを紛失した場合でも直ちに無効化し、別のICカードなどに再発行することができます。生体認証型とは人の身体の一部の生体情報のデータを用いて解除する認証方法です。生体認証型は暗証番号を記憶することや、ICカードのように持ち歩くこともないので、利便性が良いといえます。なりすましや偽造が困難なため、高度なセキュリティが求められる自動ドアの電気錠システムに導入されています。生体認証型の種類には指紋認証型、顔認証型、静脈認証型などの認証方法があります。指紋認証型は、人に指の指紋の形状を読み取り解除する方法で、顔認証型は目や鼻の位置、特徴などを読み取りドアの解錠を行います。静脈認証型は手の甲や指から静脈を利用して個人を認識して施解錠する方法で、自動ドアの電気錠の解錠方法として実用されています。スマートフォン式とは、スマートフォンを利用し自動ドアの電気錠を解除や施錠する解錠方法です。スマートフォンの専用アプリをダウンロードして設定することで、自動ドアの鍵として使用が可能になります。バックのなかに入れているだけで自動ドアが施解錠できるハンズフリータイプやスマートフォンを操作しながら開け閉めするタイプがあります。自動ドアの開閉履歴の確認や、遠隔からドアを操作する機器もありセキュリティ面においても優れています。スマートフォンに権限を与えることで簡単に合鍵の作成ができます。オフィスや店舗の清掃などで清掃業者が入る場合に、一度限りの鍵を発行して当日のみ自動ドアの出入口などを許可することも可能です。防犯対策やセキュリティ強化のために自動ドアの電気錠を設置する際は、生活スタイルに合わせて解錠方法を選びましょう。

◎自動ドアにおける電気錠の導入事例
マンションや商業施設などあらゆる分野で自動ドアの電気錠化は増加傾向にあります。マンションのエントランスなどで設置されている自動ドアの電気錠は、さまざまな解錠方法が選択できるマルチ機能タイプが向いています。高齢者や子どもにはかざすだけの簡単操作のICカードキーやICタグキーを使用し、家族はスマートフォン式や暗証番号式などを自由に使い分けることができるので大変便利です。オフィスでは、自動ドアのエントランスや出入口などの電気錠に、入退室管理システムを導入すると、誰が・いつ入室したかという履歴も自動で記録されるため勤怠管理も可能です。パソコンで自動ドアや電気錠のドアを一括管理することで、フロアーごとでグループ管理することや会議室や資料室を個別管理することで防犯面にも効果的です。商業施設・店舗の従業員出入口でも自動ドアの電気錠システムが取り入れられています。多くの人が入れ代わる店舗では、元従業員による合鍵などのいたずらや盗難の発生を防止できます。自動ドアの電気錠をICカード式やスマートフォン式を活用すると、退社する際に無効化することで被害を未然に防ぐことができます。公共施設などで見かける誰でも使える多目的室トイレは、自動ドアに電気錠を併用することでプライバシーを守ることができます。押しボタン式のボタンを押すと同時に自動ドアが開き使用中ランプが点灯し、周りに使用中だとわかるようになっています。
◎まとめ
自動ドアは、生活環境のなかで至る所で運用されています。長時間使用していると鍵が回らない、鍵が抜けなくなったなどの不具合が発生するほか、鍵を紛失した場合など鍵交換が必要になることがあります。鍵交換に利便性の向上と防犯対策効果を求めるならば、自動ドアに電気錠の取り付けを推奨します。カギ舎では、自動ドアの鍵を紛失した場合の鍵交換や電気錠の取り付けなどを行っております。自動ドアの鍵に関するお悩みのある方は、ぜひお気軽にご相談ください。