ネットワークシステム 構築
「従業員が増えてきたから全員でデータを共有したい」「プリンターや複合機をどのパソコンからでも使えるようにしたい」などの理由から、社内でネットワークシステムの構築を導入する企業は多いと思います。企業の規模が大きくなればなるほどネットワークシステムは必須となりますが、ネットワークシステムを構築するにはさまざまな準備や知識が必要です。今回はネットワークシステムについての説明、ネットワークシステム構築に必要なもの、ネットワークシステム構築の手順やポイント、ネットワークシステムで起こるトラブルなどについて解説します。ネットワークシステムを社内で構築したいと考えている方はぜひ参考にしてください。

◎ネットワークシステムとは
ネットワークシステムとは、社内でパソコンやプリンターなどをつないだネットワークのことで、一般的にはインターネットにも接続されています。社内でのネットワークシステム構築のメリットは、同じネットワークシステムに接続しているパソコン同士でデータの共有ができることです。社内のネットワークシステムに接続しているパソコンからでもサーバー上のデータを閲覧したり編集したりすることが可能で、これまでのように作成したデータを都度メールで送ったりCDにコピーして渡したりなどといった手間が不要です。社内で使われるネットワークシステムには、大きく分けて「LAN」と「WAN」の2種類があるので順番に解説します。
○LAN
LANはLocal Area Network(ローカルエリアネットワーク/構内通信網)の頭文字をとったもので、同じフロアやひとつのビルなど限られた範囲でパソコンやプリンターなどを接続して相互にデータ通信ができるようにしたネットワークです。LANには接続の方法によって有線LANと無線LANがあり、有線LANはケーブルを使用して物理的にネットワークを構築する方法です。有線LANで使用するのは「LANケーブル」というLAN構築専用のケーブルで、配線工事が必要なネットワークシステムです。対して無線LANは電波を使って無線通信で接続するネットワークシステムとなっています。ケーブルが必要ないためモバイルパソコンやタブレット、スマートフォンなどLANケーブルを差し込むLANポートがないデバイスを多く使う企業には無線LANが便利です。配線がないため、社員が特定の座席を持たずに自由にどこでも仕事ができるフリーアドレス制をとるオフィスにも無線LANがおすすめです。しかし無線LANには電波を飛ばしてネットワークシステムを構築する特性から、外部からの不正アクセスというリスクがあるので、接続する際にはパスワード(暗号化キー)を設定して、ネットワークシステムにアクセスされないようにしなければなりません。無線LANは通信速度や周波数帯によって規格がわかれており、ネットワークシステムを構築する際には接続する機器や求める通信速度によって規格を選択します。では接続の方法が異なる有線LANと無線LANのメリットとデメリットについて解説します。有線LANはLANケーブルという実線でネットワークシステムを構築しているので、無線LANのように電波によって他の機器と干渉しあうことがなくデータ量が多い場合でも安定して通信ができることがメリットです。また通信速度も無線LANと比較して速いことや、電波を使わないのでセキュリティ面でも安心です。しかしLANケーブルを使うことは有線LANのメリットでもありデメリットでもあります。有線LANでネットワークシステムを構築するには配線工事が必要なのでコストと手間がかかり、オフィスのレイアウト変更や部署の移動をする際もその都度配線工事をしなければなりません。また長年ネットワークシステムを使っていると、LANケーブルの経年劣化や損傷による通信障害が起こることも考えられます。そしてLANケーブルを使うためスマートフォンやタブレット、モバイルパソコンなどのLANポートがないデバイスを使用する際には専用の変換アダプターを使って接続しなければなりません。無線LANのメリットはケーブルによる配線が不要なので、使う場所を選ばずどこでもネットワークシステムへの接続が可能なことです。ネットワークシステム構築にかかる費用も配線が必要な有線LANよりも低コストで、モバイル端末も設定するだけで接続が可能です。しかし無線LANは電波を使ってネットワークシステムを構築しているので有線LANと比べて通信速度が遅く安定しません。また電波によるネットワークシステムなので、外部から不正にネットワークシステムにアクセスされたりデータ漏えいをしたりする危険性もありセキュリティ面で不安があります。無線LANによるネットワークシステムに接続する際には、暗号化や使用できる端末を制限するなどのセキュリティ対策をしっかりととる必要があるでしょう。また無線LANは規格によって周波数帯が違いますが、その中でもいろいろな機器に幅広く対応できる周波数帯の規格を選ぶと、電子レンジなどの家電製品と干渉しあって通信速度などに影響を与えることがあります。また、無線LANの電波は壁や家具などの障害物があると届きにくいことがあるので、周波数帯を選択するときにはレイアウトも考慮する必要があります。

○WAN
WANはWide Area Network(ワイドエリアネットワーク/広域通信網)の頭文字をとったもので、離れた場所で接続するネットワークシステムのことです。東京に本社があり、大阪や名古屋、福岡など各地方に拠点がある企業では、物理的なケーブルを使う有線LANや電波を飛ばす無線LANではネットワークシステムを構築できません。WANは光ケーブルや電話回線などを使って接続するネットワークシステムで、拠点のLANはそのままでLAN同士を接続した企業内の小さなインターネットのようなイメージです。WANを利用するためにはNTTやKDDIなどの電気通信事業者と契約して提供されるWANサービスを使い、WANの構築にはVPN(Virtual Private Network)という仮想の専用線を使います。フリーWi-Fiなどのように誰でもアクセスできるネットワークではセキュリティリスクがありますが、仮想的な専用線を構築したVPNでは部外者はアクセスしにくいため、拠点間のデータの送受信は安全で、かつ大容量の通信が可能です。仮想の専用線VPNが外部から不正にアクセスされないためのセキュリティ対策は「トンネリング」「暗号化」「認証化」などの設定です。「トンネリング」とはネットワーク上に仮想のトンネルを作り、そのトンネルの中でデータの送受信をする方法で、トンネルの入口(送信者)とトンネルの出口(受信者)以外はトンネルのなかが見えないようにする技術です。データがトンネルの中に入る際には「カプセル化」といって、データをカプセルに包むように「暗号化」され万が一途中で中身を見られてもわからないようにしています。「認証」はデータを送信した人と受信した人がIDやパスワードなどの入力によって相互に正しい相手だと認識することです。このようにさまざまなセキュリティ対策がとられているので、VPNサービスはセキュリティ性が高く、安全にネットワークシステムの構築ができます。
◎ネットワークシステム構築に必要なもの
社内でネットワークシステムを構築するためには、機器の準備やサービスの契約が必要です。では、ネットワークシステム構築に必要なものを順番に解説します。第一にインターネットに接続するためにNTTやKDDIなどの回線事業者と回線の契約をします。そして回線を契約しただけではインターネットに接続できないのでISP(インターネットサービスプロバイダ)と契約をします。ISPとはインターネットの世界への入口の管理者のようなもので、ISPと契約することでインターネットへ入る扉の鍵をもらえるイメージです。ISPにはNTTやKDDIなどの通信事業者やケーブルテレビ会社などがあり、提供するサービスの種類によって通信速度や安定性、セキュリティ対策の提供、サポート体制などの付加サービスが異なっています。続いてネットワークシステムを構築するために必要な機器について接続の順番に解説します。まずインターネットへ接続するための入口に「モデム」という信号を変換する機器を設置します。インターネットへ接続するための通信は電話回線を使用しており、この電話回線のなかを通れるのは「アナログ」データだけです。一方パソコンのデータは「デジタル」信号なので、このままでは電話回線を通ることができません。そこで、デジタルをアナログに変換して電話回線のなかを通れるようにする役割を持つのが「モデム」です。逆にアナログで降りてきたデータはパソコンに入れるようにデジタルに変換するので、アナログとデジタルを相互に変換する機器です。ちなみに通信が電話回線ではなく光回線を使用している場合はモデムではなく「ONU(光回線終端装置)」という機器を使いますが、役割はモデムと同じで光信号とデジタル信号を相互に変換しています。次にモデムから社内のパソコンやプリンター、サーバーなどにつなぐために「ルーター」を接続します。サーバーとはデータを保管するボックスのようなもので、ネットワークシステムに接続したどのパソコンからでもサーバーにアクセスして中身を見たり編集したりすることが可能です。ルーターの役割はネットワークでの中継で、IPアドレスという「機器の住所」のようなものを見てデータを振り分けることです。ネットワークシステムでパソコンが多くあると、送られてきたデータがどのパソコン宛てなのかがわからないため、ルーターがIPアドレスを見て自動的に適切な宛先のパソコンへ振り分けています。ハガキに書かれている住所(IPアドレス)を見て、正しいお届け先(パソコン)に送り出す郵便局のような役割です。そのため1本の回線を使って2台以上のパソコンを使うネットワークシステムにはルーターが必要です。最後にルーターから各パソコンに接続しますが、ルーターの差し込み口は基本的に4口なのですべてのパソコンに接続するには数が足りません。そこでルーターから線を分岐する役割を持つものが「ハブ」です。ハブはコンセントに使う電源タップのような役割を持ち、たくさんの機器を接続させることが可能になります。ネットワークシステムでモデムからパソコンまで、それぞれの機器を接続するには「LANケーブル」という専用のケーブルが使われており、LANケーブルの種類によってスペックに違いがあるので、高速通信に対応できるLANケーブルを選ぶことをおすすめします。無線LANのネットワークシステムの場合は、ルーターがWi-Fiルーターになり電波でデータを飛ばすのでLANケーブルは不要です。

◎ネットワークシステム構築の手順
続いてネットワークシステム構築の手順について解説します。どのような流れでネットワークシステムを構築していくのか、またその内容について解説します。
○現状調査
ネットワークシステムを構築する際にはまず現在のオフィスの状況を確認します。パソコンの台数やオフィスのレイアウト、プリンターなどの機器の台数を調べ、拠点が複数ある場合はその数も確認してください。すでにネットワークシステムを導入しており再構築を検討しているオフィスでは、通信速度やセキュリティの脆弱性など現在の問題点を洗い出しましょう。ネットワークシステムは一度構築すると変更するのが大変なので、事業の拡大など将来的な展開も含めて対応できるようにすることが重要です。
○設計する
ネットワークシステムをどの規格で構築するかを決定します。オフィスのレイアウトや接続するパソコンと機器の台数、モバイル端末の有無などによって、有線LANにするのか無線LANにするのかを選びます。有線LANは通信が安定してセキュリティ性にも優れていますが構築するには配線工事が必要なので、レイアウト変更や部署の移動などが頻繁にあるようなオフィスであれば、配線工事が不要でどこでも使える無線LANのほうがおすすめです。有線LANと無線LANを併用することもできるので、テレビ会議などの安定したデータ通信を必要とするときは有線LAN、それ以外は無線LANなどという運用方法もよいでしょう。有線LANはパソコンとルーターやハブをどのような形で接続するかによって構成が異なります。有線LANの接続形態はいくつかありますが、その中でも主な接続形態を3つ解説します。有線LANの接続形態の1つめは「スター型接続」です。スター型接続は、すべてのパソコンが直接ハブにつながっており、パソコンからパソコンへのやり取りはハブを経由しています。パソコン同士が直接つながらずに中央のハブを中心とした形が星形に似ているためスター型と呼ばれます。パソコンがそれぞれ別々のケーブルに接続されているので、断線などのトラブルが起きた際もほかのパソコンに影響を与えることがありません。またスター型接続は、ケーブルの配線も比較的簡単で自由度が高いため現在オフィスで構築されているネットワークシステムでは主流の接続形態です。2つめは「バス型接続」です。バス型接続はルーターやハブから一直線に伸ばしたケーブルに順番にパソコンが並んで接続されているような形です。バス型接続の構造はシンプルですが、すべての機器が1本のケーブルにつながっているため、どこか一部で断線などのトラブルが起こった際にそこから先がすべて使えなくなってしまうというデメリットがあります。3つめは「リング型接続」です。リング型接続はリング状につなぎあわせたケーブルにパソコンが順番に接続されており、1本のケーブルに接続されたバス型接続の両端をつなぎ合わせたような形です。リング型接続のデータ転送の方向は基本的には片方向ですが、逆に伝送することもできるようになっています。逆方向にデータを伝送することも可能なので、バス型のようにどこかで断線などのトラブルがあっても通信遮断を防げます。しかし、リング型接続は構造が複雑なためオフィスでのネットワークシステムにはあまり導入されていません。オフィスが同じフロアやひとつのビルなどの限られた範囲のときは有線LANまたは無線LANでネットワークシステムを構築しますが、企業の本社と拠点などのように離れた場所にオフィスが複数ある場合は、WANというネットワークシステムを構築する必要があります。それぞれの拠点のネットワークシステムは有線LANまたは無線LANで構築され、そのLAN同士をつなげるのがWANですが、WANを構築するには仮想の専用線を使ったVPNというサービスを利用します。VPNサービスを利用することで拠点間でのデータの送受信を安全に実行することができますが、VPNサービスにも製品によってセキュリティの高さや通信速度、サポート体制などに違いがあります。セキュリティ性を重視するのであれば、通信事業会社の提供するVPNサービスがおすすめです。「IP-VPN」「エントリーVPN」「広域イーサネット」などは、契約した特定の人だけしか利用できない通信事業会社の閉域網を使ったVPNサービスなので、外部からの不正なアクセスなどを防止して安全な通信が可能です。一方「インターネットVPN」は既存のインターネット環境を使ったVPNサービスなので、外部からの不正アクセス等のセキュリティリスクがあります。しかしコストを重視するのであれば、既存のインターネット環境を使う「インターネットVPN」が低コストで自社でのネットワークシステム構築も可能なのでおすすめです。

○管理方法を決定する
社内でのネットワークシステムは構築した後にも運用や保守が必要です。セキュリティ対策や予期せぬトラブルなどがあるため、どのような運用方法をとるのかマニュアルや管理者を決めて整備しておく必要があります。大きな企業では情報システム部などのネットワークシステム専門の部署がありネットワークシステム全体の管理をおこなっていますが、小規模な企業では担当者を決めてネットワークシステムの管理者とします。トラブル時にネットワークシステムの知識がない従業員がむやみに対応すると、ネットワークシステムに障害を起こしたりデータが飛んで会社に損害を与えたりする恐れがあります。またネットワークシステム以外にも、パソコンの持ち出しによる情報漏えいや出所が不明確なアプリのインストールによるウイルス感染などを防止するためにネットワークシステムに関する社内規定を作成して周知徹底しておくことも重要です。
◎ネットワークシステム構築のポイント
社内でネットワークシステムを構築する際に気をつけておくべきポイントはいくつかありますが、ネットワークシステムでは多くの人間が大量のデータをやり取りするため、安定した通信環境を保つことが重要です。パソコンの台数が多かったり動画の送受信などによる通信量が多かったりする場合は、有線LANでのネットワークシステムの構築が通信の安定につながります。ネットワークシステムで通信速度が遅かったり通信量に制限があったりすると業務に支障をきたすので、社内で必要な通信速度や通信量をあらかじめ確認しておきましょう。そしてネットワークシステムの構築は、構造をできるだけシンプルにしておくことをおすすめします。オフィスのレイアウトや接続したいデバイスの数などによって構成は変わりますが、複雑すぎる構造は通信障害などのトラブルが発生した際に原因を特定するのに時間がかかります。ネットワークシステムを構築し、運用が始まった後にはメンテナンスも必要です。とくに顧客データなどオフィスの情報を守るためのセキュリティ対策は最重要だといえます。インターネットと接続するネットワークシステムでは、外部からの不正なアクセスやサイバー攻撃などを受ける危険性もあるため、しっかりとしたセキュリティ対策をとる必要があります。ネットワークシステムでのセキュリティ対策のひとつは「ファイアウォール」です。ファイアウォールという言葉の意味は「防火壁」で建物を火災から守るための壁のことですが、ネットワークシステムでは外部からの不正なアクセスを遮断する役割があります。ファイアウォールはISP(インターネットサービスプロバイダ)のサービスに含まれていることもあるので、加入するISPを選ぶ時の判断材料としてもよいでしょう。最近ではファイアウォールやウイルス委対策ソフトなどセキュリティ関連の機能が一体となった「UTM」というソフトもあるので、自社の求めるセキュリティレベルと予算などから総合して導入を検討しましょう。続いて社内のネットワークシステムを構築する際に必ず必要となるのがバックアップシステムです。ネットワークシステムではサイバー攻撃やシステムのトラブルなどでオペレーションが停止してしまう危険性も考えられるため、リスクに備えるためにバックアップシステムが重要です。バックアップとは同じものをコピーして保管しておく機能で、万が一ネットワークシステムのデータが壊れたり消失したりしてもバックアップデータがあれば復旧が容易になるからです。しかしバックアップ先が別のサーバーであっても同じオフィスにあれば、大地震や火災などの災害時にはバックアップデータも共に損傷してしまいます。物理的に遠隔地にバックアップサーバーを置く手段もありますが、コストや管理が大変なので導入はむずかしい方法です。対して近ごろ注目されているのが「クラウド・ストレージ」というサービスです。クラウドとは外部にデータを保管してインターネットなどのネットワークを経由して利用するサービスで、ストレージとはデータの入れ物のことです。つまりクラウド・ストレージとはネットワーク上にあるデータ用サーバーなので災害などで社屋が被害にあってもデータは安全というわけです。クラウド・ストレージサービスはさまざまな企業が提供しており、プランによって保存容量や金額に違いがあるので、データ量やサポート体制、セキュリティ対策の有無などサービス内容を考慮して選びましょう。また、ここ数年の感染症の拡大や働き方改革などで、テレワークが増加しています。今後サテライトオフィスの導入や在宅でのテレワークを推進したりなどで、社外からもネットワークシステムにアクセスできる環境を作る予定があればクラウド・ストレージサービスはおすすめです。ネットワークシステム構築は運用開始後には簡単にやり直しができないため、入念な準備が必要です。ポイントを押さえてしっかりとネットワークシステム構築の準備をしましょう。

◎ネットワークシステムで起こるトラブル
社内でネットワークシステムの運用が始まってから起こりうるトラブルをいくつかご紹介します。まず、ネットワークシステムに接続しているパソコンがインターネットやサーバーに突然つながらなくなってしまうことがあります。突然ネットワークシステムにつながらなくなったときには、まず対象のパソコンが1台だけなのか、部署やグループなど一部だけなのか、それとも社内全体なのかによって原因が異なります。パソコンが1台だけであれば、そのパソコンの周辺に原因があると考えられます。パソコンからLANケーブルが抜けていないか、LANケーブルに断線がないか、パソコンが故障していないかなどです。LANケーブルに問題がないかを確認するには、違うケーブルを使ってみてつながるかどうかをみてください。違うケーブルでネットワークシステムに接続できればケーブルには問題がありません。ケーブルに問題がなければ次にパソコンの再起動をしてみましょう。パソコンを再起動すると、パソコンの住所の役割をするIPアドレスの再取得ができます。何らかの原因でIPアドレスが他のパソコンと重複してしまったときなどはIPアドレスの再取得で解決することがあります。それでもネットワークシステムに接続できないようであれば、パソコン本体の故障、パソコンの設定やセキュリティソフトの作動なども考えられます。このような場合にはむやみに触らずに、すぐにネットワークシステムの管理者や委託業者などに調査を依頼しましょう。つながらないパソコンが部署やグループなどの一部だけの場合は、ネットワークシステムの配線の途中にあるハブの電源が落ちている、ハブが故障している、ハブへのLANケーブルが抜けている、LANケーブルが損傷しているなどが原因として考えられます。そして社内全体でネットワークシステムに接続できないときは、ルーターの電源落ちやルーターの故障、または契約しているISP(インターネットサービスプロバイダ)や回線事業者の障害なども考えられます。ルーターやハブの状態の確認は、取扱説明書を見てランプが正しく点灯しているかどうかで簡単に確認ができるのでネットワークシステムのマニュアルと一緒に取扱説明書もきちんと保管をしておきましょう。次に、レイアウト変更や部署の移動などの後にネットワークシステムにつながらなくなってしまうことがよくありますが、原因はケーブルの配線ミスや断線であることが多い傾向にあります。レイアウト変更をしたときに「抜いたケーブルがどこに差し込んであったのかがわからなくなったので空いているところに全部差し込んだ」ことが主な原因です。LANケーブルを空いているポートにむやみに差し込むと、ネットワークシステムで「ループ」という現象が起こることがあります。ループとは、2台のハブが2本のケーブルでつながり「輪っか」を作ってしまうため、データ転送がループされ続けるという状態のことをいいます。レイアウト変更などの際にネットワークシステムの知識がない社員が不用意にケーブルを抜き差ししてしまうことや、業務中に空いているLANケーブルを見つけ何の気なしに空いているLANポートに差してしまうことが主な原因です。とくにケーブルの配線が複雑で、どのハブにどのケーブルを接続するのか、ケーブルがどこから出ているのかなどが目視でわかりにくいオフィスで起こりがちなトラブルです。ループを防ぐためには、不必要なLANケーブルを撤去したり空いているLANポートをふさいでしまったりすることが効果的です。社内のネットワークシステムでウイルスに感染したパソコンがあった場合は、一刻も早く感染拡大を止めなければなりません。感染が判明した時点で、ウイルスに感染したパソコンからLANケーブルを抜いて社内のネットワークシステムから切断してください。ネットワークシステムに接続したままだと、パソコンの顧客情報などの重要データがインターネット上に流出したり、社内のほかのパソコンや社内サーバーなどにウイルスが広がったりする恐れがあります。そしてウイルスに感染したパソコンやウイルス感染が疑われるパソコンは、最新版にアップデートしたウイルス対策ソフトで至急ウイルスチェックを実行してウイルスの削除をおこなうことになりますが、ネットワークシステムの管理者がいる場合は自身でおこなわず速やかに管理者へ連絡をしてください。社内のネットワークシステムでウイルス感染からパソコンやネットワークシステムを守るためには、怪しいメールの添付ファイルやリンクを安易に開かないことを心がけましょう。ウイルス感染を狙ったメールは、メールのタイトルや添付ファイルのタイトルなどで興味をひかせ、添付ファイルを開かせようとしています。ウイルス感染を狙ったメールの添付ファイルの半数近くは、拡張子が「▲▲▲.exe」のように実行形式のファイルです。また送信元のメールアドレスがフリーメールであることも多いので、添付ファイルの拡張子や送信元のメールアドレスを確認し、少しでも不審に感じた場合は絶対に添付ファイルやリンクアドレスをクリックせず、ネットワークシステム管理者へ連絡して指示を仰いでください。そしてセキュリティソフトの導入やソフトウェアを最新の状態に保つこともウイルス感染防止に役立ちます。ネットワークシステムのトラブルは、パソコン本体やLANケーブル、ルーターやハブ、ネットワークシステムの設定、ウイルス感染などさまざまな原因があります。ネットワークシステムでのトラブルは必ずネットワークシステム管理者へ連絡をして指示を仰いだり対処をしてもらったりしましょう。ネットワークシステムの知識がない社員がむやみに設定や接続環境をさわってしまうとシステム自体を壊してしまう恐れもあります。そしてネットワークシステムの管理者でも状況調査や原因の解明がむずかしいときは、ネットワークシステムの専門業者へ調査を依頼することをおすすめします。社内でのネットワークシステムのトラブルは業務へ直結するため、できるだけスムーズに解決できる方法を選びましょう。

◎まとめ
ネットワークシステムについての説明、ネットワークシステム構築に必要なもの、ネットワークシステム構築の手順やポイント、ネットワークシステムで起こるトラブルの事例などについて解説しました。ネットワークシステムを構築すると、社内でデータを共有したりプリンターなどのデバイスをどのパソコンからでも使えるようにできたりなど、業務効率が上がり働きやすい環境にすることができます。しかしネットワークシステムを導入するためには、入念な事前調査や機器の設置など、大変な労力が必要です。さらにネットワークシステムに関する知識がなければ企業独自で構築することは難しいので、オフィスにネットワークシステムを構築するには専門知識を持つ業者へ依頼することが確実です。カギ舎では専門業者と連携をとりネットワークシステム構築に関するご相談を承っております。現在のネットワークシステムに関するご相談、ネットワークシステム構築のお見積もりなど、すべて無料なのでネットワークシステム構築を検討されている方はぜひお気軽にご相談ください。