顔認証リーダーFE-700の静脈認証を用いて利便性とセキュリティを両立する自動ドア
自動ドアは出入口の開閉をスムーズにするだけでなく、温度管理や塵埃防止などの特徴がありますが、自動ドアに生体認証を連動するとセキュリティ性を効果的に高めることが可能です。生体認証の手のひら静脈認証は非接触で認証精度が高いことから、機密性が高いサーバー室や重要な書類などが保管されているエリアなどに導入されています。静脈認証には、指静脈認証と手のひら静脈認証がありますが、この記事では、自動ドアの仕組みや手のひら静脈認証の特徴、自動ドアの導入事例をご紹介します。
◎自動ドアの仕組みと効果
コンビニエンスストアや施設などで見かける自動ドアですが、利便性が優れていることから、多種多様な場所で導入されています。自動ドアの仕組みは、センサーが通行者を検知すると、コントローラーから起動装置に信号を送り、モーターやタイミングベルトなどが作動してドアが開きます。自動ドアには3種類のセンサーがあります。ドアを開けるための起動センサーや、ドアの途中で立ち止まった人が自動ドアに挟まれないようにする補助センサー、自動ドアの作動範囲を監視する保護センサーです。センサーは自動ドアが安全かつ円滑に運用できるための役割を担っています。センサーと起動装置につながっているコントローラーは、開閉動作の信号を送るほか、モーター速度の調整や安全性を確保するための開閉状態を管理しています。コントローラーから指示を受けた起動装置は、自動ドアを開閉するために、モーターやタイミングベルト、ガイドレールなどで重い自動ドアを動かすことが可能です。自動ドアの特徴は利便性が高いことがあげられます。大きな荷物で両手が塞がっているときや、台車などを押している場合でも、自動ドアの近くを通行するだけで自動的に開閉するため、出入口を簡単に通過することが可能です。そのため、自動ドアは複数の人が利用する病院や商業施設、宿泊施設の出入口などに設置されています。また、出入口を自動ドアにすると開けっ放しにならないため、省エネ効果があります。出入口からの雨風を防止し、冷暖房の空気を外に逃がすことが少なく、効率性を高くすることで、建物内の快適な環境づくりと省エネルギーに貢献できます。企業ではセキュリティ対策のため、自動ドアに入退室管理システムを連動しています。オフィスでは資産や機密情報などを保有しているため、一般的な自動ドアでは、不正侵入のリスクがあります。そのため、自動ドアに入室制限を設ける入退室管理システムを組み合わせることで、セキュリティ性を高めることが可能です。
◎生体認証の静脈認証とは
生体認証とは、1人ひとりが持つ異なる身体的特徴を個人の生体情報データとして活用し認証を行い、本人を特定する認証方法です。生体認証には、指紋認証、静脈認証、顔認証、虹彩認証、音声認証など種類は多岐にわたります。生体認証はスマートフォンやパソコン、オフィスの出入口、自動ドアの入退室管理などの身近なところで活用されています。生体認証はカード認証や暗証番号認証などの従来使用されている認証方法と比べると、カードを持ち歩くことも、暗証番号を記憶しなくても、身体があれば認証ができることから利便性が優れている認証方法といえます。また、生体認証の最大の特徴はセキュリティ性が高いことです。個人の顔や指紋、声など身体的特徴は個々で異なるため、同じものがありません。そのため、偽造や複製のコピーが難しく、なりすましの侵入被害のリスクをおさえることができることから、オフィスのエントランスや入室制限している自動ドアなどの、セキュリティ対策の強化に適しています。生体認証の静脈認証は、赤外線センサーに手や指をかざすことで、手のなかにある静脈を透過させ、静脈パターンを読み取り認証を行う方法です。静脈認証を認証する際は、事前に静脈データの登録を行い、その登録したデータと認証を行う本人の静脈パターンを照合し、データが一致すると許可する仕組みです。生体認証の顔認証、指紋認証は、目で見えるもので認証を行いますが、静脈認証は、体内の情報を用いるため、第三者が情報を取り出すことが非常に困難なことから、より精度の高い認証システムの構築が実現できます。また、静脈パターンは固有性が高く、顔認証のように年齢によって変化することがありません。静脈は一生変わらないことから、静脈認証に1度登録を行うと長期的に利用ができ、管理者にとっても再度登録する手間がなく業務の効率化が図れます。
◎静脈認証と指紋認証の違い
手を使用して認証を行う生体認証には、指紋認証と静脈認証が存在します。指紋認証は古くから研究されている認証方法で、静脈認証は比較的に新しいタイプの認証方法で、指紋認証と静脈認証を比較すると読み込む方法や認証精度など特徴が異なります。指紋認証は、認証に指の指紋を使用しますが、静脈認証は指や手のひらの静脈を使用して読み取り認証を行います。指紋認証は、季節の環境の変化による手荒れや指の怪我などで認証精度に影響を及ぼすことがありますが、静脈認証は皮膚の下の静脈を個人データとして利用するため、高い認証精度を保つことが可能です。また、データを読み出し方式においては、指紋認証は、隆線と呼ばれる指表面の突起部分の特徴を読み取り、照合、認証を行う方式です。指紋認証の認証方式には、3つの読み出し方式があります。電子の移動を利用した静電容量方式や、超音波の角度や強さを利用した超音波方式があり、ほかにも光の反射の特性を利用した光学方式があります。一方、静脈認証では、手や指に近赤外線を透過させて静脈パターンを読み取り、照合及び、認証を行います。さらに、認証リーダーの読み取り部分の接触性においても、指紋認証は接触型で認証リーダーに直接指を押し当てるタイプや、指を押し当て手前に引いて認証を行うタイプがあります。静脈認証は、一部接触型もありますが、ほとんどが非接触で認証リーダーに直接触れることなく、指や手のひらをかざして認証を行うため衛生的です。セキュリティ面においては、指紋認証の認証センサー部分に指紋形状が残留している場合、指紋形状を入手することは容易であることから複製される可能性があります。静脈認証は、体内にある血管の静脈を利用するため、静脈パターンを入手することは非常に困難といえます。
◎静脈認証の仕組みと種類
静脈認証は血管の静脈を利用して個人を識別します。血管に動脈と静脈がありますが、静脈は皮膚側に近い場所にあり、近赤外線で照射した場合に読み取りやすいことから、静脈認証には動脈ではなく静脈を利用して認証を行っています。体内の二酸化炭素や老廃物を回収して心臓に戻る働きをしているのが静脈です。静脈の血液のなかに含まれているヘモグロビンには、2つの種類があり、体内に酸素を運んでいるヘモグロビンを酸化ヘモグロビンといい、酸素を放出し終えたものを還元ヘモグロビンと呼びます。還元ヘモグロビンは赤外線を当てると光を吸収する特性があり、皮膚に近赤外線を透過するとその部分のみが黒く映し出されます。静脈認証はその性質を利用して、指や手を認証リーダーから読み取った画像から、黒く映る部分をデータ化し個人情報として認証を行うシステムです。静脈認証には、指静脈認証と手のひら静脈認証の2種類があり、認証方法や特性が異なります。指静脈認証とは、センサーに指の中指などの1本をかざし、近赤外線を当てて透過させ、指の静脈パターンを読み取り、指の静脈の分布をデジタルし照合、認証を行う仕組みです。指の汚れや外傷などがある場合でも指静脈認証であれば、認証に影響を及ぼすことがなく、安定した認証を行うことができます。また、認証部分が小さいことから小スペースで認証機器を設置できることもメリットです。手のひら静脈認証は、手のひらを広げた状態でセンサーにかざし、近赤外線の光を照射して静脈パターンの黒い画像部分を読み取り、あらかじめ登録した静脈データと照らし合わせて認証を行います。手のひら静脈認証は、読み取る静脈の本数も多く、個人を識別するための正確性の高い認証が行える認証方法です。一方で、手のひらを読み込むため、認証機器が指静脈認証より大きめになる傾向もありますが、最新技術では広角レンズや拡散照明を利用して認証機器が小型している製品も登場しています。
◎手のひら静脈認証の特徴
非接触性で認証を行う手のひら静脈認証は、手の内側にある静脈を使用するため、複製が難しく認証精度が高いことが特徴のひとつです。カード認証や従来の鍵の場合では、紛失や忘れなどをした場合、なりすましにより不正侵入される可能性があります。手のひら静脈認証は、皮膚の内側にある血管の静脈データを使用し認証をするため、偽造やなりすましが困難なことから、高度なセキュリティ性で建物内の安全性を守ることができます。また、手のひら静脈認証は、経年変化による影響を受けることなく使用することが可能です。顔認証は経年変化により認証精度が低下するため、数年おきに再登録する必要があります。一方、手のひら静脈認証の静脈は、基本的に消えることや変化することがなく、生涯の形状は変わることがないため、静脈認証に1度登録したら再度登録する必要がありません。手のひら静脈認証は、高精度の認証技術で認証を行います。手のひらは認証面積が広く血管も多いため、精密な静脈パターンを読み込むことで、生体認証のなかでも高精度の認証が行える認証システムです。静脈の複雑な静脈パターンは、人によってまったく異なることから、ほかの人と誤認証する確率が非常に低いことから、高いセキュリティ性が求められる場所の自動ドアなどに適しています。手のひら静脈認証は、非接触性でセンサーに直接触れることがなく、センサーに手をかざすだけで簡単に認証できることがメリットです。非接触性の自動ドアと手のひら静脈認証を併用することで、病院や施設などの感染防止対策になり、衛生的に利用することができます。
◎手のひら静脈認証が可能な顔認証リーダーFE-700
KJ TECH Japanの顔認証リーダーFE-700は、複数の認証方式を備え、入退室管理における利便性と安全性を提供します。顔認証に加えて、静脈認証やカード認証の多要素認証に対応し、場面に応じた使い分けが可能です。静脈認証は手のひらを使用しており、汗や乾燥、傷の影響を受けにくいため、高精度な認証が可能です。また、手をかざすだけの自然な動作で認証できるため、利用者にストレスを与えません。認証速度はわずか0.5秒で、手をかざす距離は10~20cm、スキャン可能距離は15~40cmと、遠距離からでも認証が可能です。顔認証リーダーFE-700は、5インチのタッチスクリーンを備えており、顔認証は10,000件のデータ登録が可能で、大規模な施設にも対応できます。さらに温度-20~+70℃、湿度20~80%の環境に対応しているため、設置場所の選択肢が広がっています。顔認証は、認証距離が0.3~1mのため、立ち止まらずに認証でき、スムーズな入退室が可能です。顔認証リーダーFE-700は静脈認証・顔認証・カード認証から組み合わせて二重認証が可能、セキュリティを強化します。カード認証は、Mifare規格やFelicaが採用され、広く普及した規格を活用しています。
◎自動ドアに手のひら静脈認証を備えた顔認証リーダーFE-700の導入事例
手のひら静脈認証は非接触のため、認証リーダーに接触することなく自動ドアをスムーズに開閉することができます。1人ひとり異なる血管パターンを利用する静脈認証は、偽造や改ざんが難しいことから不正侵入の対策強化に最適です。非接触で衛生的な自動ドアの入室管理や高度なセキュリティ対策が実現できることから、手のひら静脈認証の自動ドアには、オフィスや病院などのセキュリティレベルが高い場所に運用されています。
⚪︎オフィスのサーバー室に顔認証リーダーFE-700を導入
オフィスでは、多くの個人情報や企業情報などを取り扱うことから漏洩防止のために、入退室管理システムに対する関心が高まっています。高い水準の認証技術でスピーディーな認証ができることから、サーバー室の自動ドアの入退室管理に、手のひら静脈認証が選ばれています。手のひら静脈認証は、カード認証などの異なる認証方法と認証を行う、二重認証機能を採用することで、よりサーバー室の自動ドアの強固なセキュリティ対策が可能です。仮に自動ドアがカード認証で突破されたとしても、手のひら静脈認証で足止めすることが期待できます。
⚪︎病院の薬剤室に顔認証リーダーFE-700を導入
病院は、患者や医療業者など不特定多数の人が出入りします。睡眠薬や麻酔薬なども保管している病院の薬剤室の自動ドアでは、誰でも入室できると薬を持ち出されてしまう恐れもあります。手のひら静脈認証は、薬剤室の自動ドアから入室できる人を限定することで、外部、内部から薬品の不正な持ち出しを防止することが可能です。また、非接触型の手のひら静脈認証は、病院の衛生面においての感染症対策の向上と、自動ドアの厳密なセキュリティ対策の両方を兼ね備えた認証システムが整います。
⚪︎食品工場に顔認証リーダーFE-700を導入
食品工場に手のひら静脈認証の導入は、高い認証精度と、非接触で衛生的で安定稼働が期待できます。非接触の自動ドアと手のひら静脈認証を連動することで、マスク着用していても正確に認証することができ、従業員もストレスなく利用できることが可能です。ほかにも高度な認証技術で偽造などが難しいことから、部外者による工場内の不正侵入防止にも役立ちます。工場内の自動ドアの不正な入室にはアンチパスバック機能も有効な機能です。自動ドアの出入口の屋外側と屋内側に手のひら静脈認証を設置することで、共連れによる不正入室を防ぐことができます。
◎まとめ
顔認証リーダーFE-700の手のひら静脈認証は非接触性で衛生的なことや、血管の静脈パターンを利用して認証を行うことから複製が難しいことが特徴です。オフィスなどでは認証精度が高く本人確認ができることから、重要書類が保管されている部屋やサーバー室などの自動ドアに、手のひら静脈認証の導入が増えています。手のひら静脈認証についてや、自動ドアの入退室管理に生体認証の導入をご検討の方は、カギ舎までご相談ください。